横浜工藤公康投手(46)が今季限りで退団し、来季も現役続行を目指すことになった。球団が15日、工藤に戦力外通告をし、今季終了後に自由契約にすると発表した。来年で背番号と同じ47歳になるハマのおじさんは「どこかやれるところがあればチャレンジしたい」と選手としてユニホームを着続ける意欲を示した。今後は国内球団を中心に、米国、韓国、台湾も視野に入れて移籍先を模索していく。

 「ハマのおじさん」ではなくなる。だが工藤は背番号と同じ47歳になる来季も現役を続ける強い意志を見せた。13日に球団フロントから戦力外通告をされてから2日、ヤクルト17回戦前に横浜スタジアムで会見を開いた。

 工藤

 大阪で(戦力外を)言われて、家族と話してから決めようと。ここではできなくなりますけど、自分の希望としては、どこかやれるところがあればチャレンジしたい。

 まだ21試合を残している段階での異例の早期発表となった。憶測が飛び交い、戦っているほかの選手に迷惑がかかることを嫌った決断だった。若返りを図るために来季の戦力構想から外れることを伝えた村上チーム運営部門統括は「今日(15日)返答をもらって現役を続行したいとのことだった。今のままで勝利のために投げたいと。最後まであきらめないでやりたいと」と説明。出場選手登録も抹消されていない。現役続行の意思を受け、任意引退ではなく、自由契約の手続きが取られることになった。

 工藤

 応援してくれたファンにも、投げている姿を見せないといけない。少しでもファンの人たちに恩返しになればいいなと思います。

 定位置だった先発は、今季1試合のみに終わっている。開幕直後に2軍落ちし、5月の1軍復帰後は慣れないブルペン待機。2年連続の最下位が濃厚なチーム状況で、大差の負け試合でも登板してきた。連投も拒まない。球速は140キロ中盤まで計測した。「言われたところで投げるよ。おれはピッチャーだから」。歴代13位の通算224勝の大投手は、応援してくれるファンに背中を押してもらっていた。5月25日楽天2回戦(横浜)では今季初勝利を挙げ、自身の持つセ・リーグ最高齢勝利を更新した。

 今季を全うした後、新たな働き場所を探しに出る。この日は「今のところ国内しか考えていない」と話すにとどまった。だが以前「(韓国や台湾も)かあちゃん(雅子夫人)は『行きなさいよ』と言ってる。いいかもしれないよね、ほかの野球を見るのも」とアジアの球団も頭にあることを話していた。米球界を含め、広い選択肢を持って29年目の居場所を求めていく。

 体に異常もない。西武、ダイエー(現ソフトバンク)、巨人、横浜と渡り歩いてきた左腕は、まだまだ投げ続ける。【今井貴久】

 [2009年9月16日9時27分

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