巨人ウィルフィン・オビスポ投手(25)が、21日からのクライマックスシリーズ(CS)第2ステージでの“先発5本柱”入りを内定させた。13日、宮崎フェニックスリーグ・斗山戦(ひむか球場)に2番手で登板し原辰徳監督(51)から握りを伝授された新球の縦変化のスライダーを試投。7四球と荒れながらも、5回1失点でまとめ「三振を取りにいくボールに完成しつつある」と手応えを得ていた。

 オビスポは、相手の反応に新球の効果を確信した。同点で迎えた9回2死満塁、カウント2-1で新たに習得した縦変化のスライダーを投じた。鋭い縦の変化に腰が砕けるように、打者のバットが空を切った。「かなり自分のイメージに近くなってきた。三振を取りにいくボールに完成しつつあります」。表情も和らいだ。

 登板前、捕手の実松と決めごとをした。「原監督に伝授されたスライダーをどんどん使っていこう」。8日の練習中、原監督からスライダーの握りを教わった。横の変化が持ち味のオビスポにひとつ縦の変化が加われば、投球の幅はグンと広がる。

 原監督から教わったスライダーは握りを変えることで横変化から縦変化に変わり、球速は130キロ台後半から130キロ台前半に落ちた。「カウントを取る球と空振りを取る球」と、2種類のスライダーを使い分けて相手の狙いをはずす。実松は「以前より変化していた」と証言した。

 オビちゃんらしい荒々しさも出た。7四死球と荒れたものの5回3安打1失点とまとめるところはさすが。「結果はともかく、スライダーを多く投げることをテーマにしていたから」と周囲の不安を一掃、要所では最速151キロの直球と変化球でねじ伏せた。香田投手コーチも「今までのピッチングをしていても意味がないから。自分の課題であるスライダーを試していたね」と向上心を評価した。

 6試合のCS第2ステージでは、先発を5枚用意する必要がある。この日の投球で、オビスポが先発5本柱に入ることが内定。開幕投手は15勝を挙げたゴンザレスが濃厚だが、2戦目以降で先発のマウンドに上がる。オビスポは「もちろん先発で投げたい気持ちはありますが、それは監督とコーチが決めること。どんな形でも、マウンドに立てればいい」と殊勝に話した。チームの救世主と評された男が、CSローテの一角を担う。【久保賢吾】

 [2009年10月14日8時7分

 紙面から]ソーシャルブックマーク