球児、メジャーあきらめん!

 阪神藤川球児投手(29)は23日、今オフの契約更改で、ポスティング制度を利用してのメジャー移籍を球団側に再び訴えることを明かした。来季の阪神残留は決意しながら、海外FA権を得る12年オフまでは待てない姿勢で交渉を行う。07年オフに初めて米大リーグ挑戦の希望を伝えているが、昨オフは「V奪回」などを理由にチームに残留、移籍の思いを封印していた。道は険しいが、早ければ11年にメジャー移籍する夢をあらわにした。

 止まっていた時間が、再び動きだした。一昨年オフの契約交渉で初めて「メジャー移籍願望」を口にした藤川が、2年ぶりにその思いを再表明した。この日、神戸市内でのイベントに桧山、関本と参加。報道陣から今オフの契約交渉でポスティングについての話が出るのか問われると、しっかりとした口調で答えた。

 藤川

 あえてしゃべらなくても、やることは同じ。どんな状況でも全力で前を向いてトライしていかないといけない。(ポスティングは)交渉の中で伝えていこうと思う。球団の了承がない限り(メジャーに)行けない。希望はあるけど球団と相談して。

 07年オフに初めてメジャー願望を公言した。ポスティングを利用して、08年オフ以降に夢を実現したいと球団に直訴した。だが昨年は優勝を逃したことを理由に封印。早々と残留を宣言していた。だが、この日は昨年から一転。水面下で温めてきたメジャーへの思いは隠せなかった。昨年は口にしなかったポスティング制度で、再び移籍を球団に訴えかけていく意志を示した。

 「阪神が巨人に負けることは絶対に許されないこと」。並々ならぬ決意で臨んだ今季、心から納得できる数字を残すことはできなかった。25セーブは本格的に抑えに転向した07年以降ワースト。5月には右ひじの張りで登録抹消のアクシデントにも見舞われた。8月以降は17試合連続無失点など本来の姿を取り戻したが、覇権奪回という目標には遠く及ばなかった。

 それだけに、チームに対する責任感も生まれた。「来年も阪神で頑張るつもりです。来年は(真弓)監督も2年目で、チームも優勝したいと思っている。その中で一番後ろ(抑え)を計算してもらってるので、その期待に応えたい」。偽らざる本音だ。だが同等に抱く「夢」を簡単に捨てきれないのも事実だった。

 海外移籍が可能となるFA権を取得するには、最短でも12年シーズン終了後となる。火の玉ストレートが健在な今、1年でも早く海を渡りたい気持ちがあって当然だ。球団が認めていないポスティングでの移籍は難しい。それでも3年後を待つのは長すぎる。11年シーズンに向けて、球児は夢をあきらめない。

 [2009年11月24日11時24分

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