楽天が「修羅の群れ」と化す。総大将の山崎武司内野手(41)が4日、昨季2位から頂点を狙う上で決定的に足りない若手の闘争心を厳しく指摘。その上で中日時代に倣い、任俠(にんきょう)映画「修羅の群れ」をナインに見せたいと熱っぽく語った。

 星野監督が率いた90年代の中日は結束が固く、長い球史で屈指の侠気(おとこぎ)集団として乱戦、接戦などしのぎ合いに無類の強さを発揮した。99年にはリーグを制した。「最恐時代」を陰で力強く支えていたのは、男なら誰もが精神の高ぶりを抑えられなくなる、あの作品だった。

 山崎

 修羅の群れ、見せないといかん。今の若い選手は見てないから、ダメなのかも知れない。ミーティングで見せようか。中日時代、遠征バスで見ながら大阪に行っていた。「ジャジャジャ~ン」ってね。

 全員が一枚岩となり「食うか、食われるか」の戦いを制した。あのころを熟知する山崎は「ファームに落ちても10日で戻れる、という雰囲気。これは中日時代はありえなかった」。勝負の世界で生き抜くために不可欠な資質が、劇中に詰まっていると確信する。

 野手全員を前にスピーチする機会があった。「ギラギラしよう。オレたちは友達じゃない。競争なんだ。『絶対あいつのタマ、取ったる』くらい威勢のいいヤツ、出てこい」と説いた。映画の世界では松方弘樹演じる龍二が侠気を貫き、次々と仲間を従え頂点に登り詰めた。山崎率いる楽天の男たちが映画の世界を現実にする。【宮下敬至】

 [2010年2月5日9時4分

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