右も怖いぞセサル!

 中日の両打ち助っ人ディオニス・セサル外野手(33=メキシカンリーグ)が18日、北谷球場でのシート打撃で岩瀬仁紀投手(35)と対戦。守護神のスライダーをうまくさばき、右打席で左越え“1号”を放った。これまで左打席ではヒットを量産する一方で、右では「?」が消えなかった。強烈な1発で評価を覆し、視察に訪れた他球団の「007」に「パワーの右」をアピールした。

 きれいな弾道だった。カウント2-2から岩瀬の5球目。右打席のセサルはやや高め内角寄りに入った126キロスライダーに反応した。必死に腕をたたみ込んで振り払った打球は、高々と舞い上がり左翼席にある緑の芝に弾んだ。日本球界を代表するストッパーから放った推定110メートルの「来日第1号」は、実戦形式のシート打撃では初めてとなる右打席での安打。「ちょっと甘かったけど、うまく打った」と岩瀬も評価した右のパンチ力だった。

 セサル

 高めのボールをうまく打てたよ。本塁打?

 本当の試合じゃないので数には入らない。バッティングの感じも体の調子も良い。すばらしい球を投げるすごい選手(岩瀬)から打てたことはうれしい。とにかく日本の野球に慣れることに毎日、必死だよ。もっと練習して試合でも打っていきたいね。

 新助っ人に新たな一面が加わった。この日までシート打撃では左打席で13打数6安打とヒットを量産。「安打製造機」という言葉がピタリとくるアベレージヒッターぶりを披露していた。一方で右打席では3打数無安打…。下半身でタイミングをとる左打席と比べ、右打席では上半身主導でボールを迎えに行ってしまうという欠点を露呈していた。だが、この1発で印象をガラリと変えた。「パワーの右」を見せつけセサルは「僕は生まれたときは右利き。左は10歳からなんだ。生まれつきの右の方がパワーがあるのは当然さ」と満足げだ。

 視察に訪れた「007」も右打席のセサルに驚きの表情を見せた。巨人樽見スコアラーは「これだけ(右打席と左打席が)両極端なスイッチ(ヒッター)は見たことがない。戦力になるでしょうからオープン戦も継続して見ていかないといけない。和田、森野、ブランコがいて、そこにもう1人加わるとなると…」とそのパワーに警戒心をあらわにした。左は技でミート中心、右は1発もあるパワフル打法。限りない可能性を秘めたスイッチヒッターは、ライバル球団にとっては大きな脅威になるかもしれない。【桝井聡】

 [2010年2月19日10時36分

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