新生カープの足攻ズバッ!!

 広島は20日、今季初の対外試合となる巨人との練習試合で、チームカラーとして推し進める機動力野球を見せつけた。スコアは2-3と惜敗したが、1回表にエンドランと盗塁を仕掛けて打者3人で2点を奪う鮮やかな攻撃を披露。野村謙二郎監督(43)も「出来すぎ!」と高く評価した。昨季は7勝14敗3分けと大きく負け越した天敵を相手に、強烈なイメージを与えた。

 これが野村野球だ。原巨人を相手に、名刺代わりの「速攻劇」を演じ切った。初回。先頭東出が右前打で出塁すると、三塁ベンチの野村監督が早くも動いた。先発野間口の制球は安定しない。カウント1-3。一塁にけん制直後、野間口がモーションに入るや、一走の東出が猛然とダッシュ。梵も甘い球を右前に運び、エンドランを決めた。

 攻め手は緩めない。すかさず梵が二盗に成功して無死二、三塁に好機は拡大。天谷が中前適時打を放ち、攻撃は完成した。電光石火の攻撃は理想の展開。惜敗したが、普段は冷静な野村監督が声を上ずらせた。

 「出来過ぎだったね!

 どうしたんだって感じだよね!

 意識してやって、選手も結果が出るとね。あれがマックスじゃなく、シーズン中も意識してやっていけば、チームが低迷しているときの起爆剤になる。いい攻撃だったと思います」。

 昨年10月に監督就任後、初となる同一リーグのチームとの対戦。巨人を相手に、手ごわいインパクトを与えるつもりだった。この日は初回無死から、いきなり3人が機動力を発揮。強烈な先制パンチを食らわし、まさに指揮官の描いた青写真通りの攻めだった。東出も「まだ1試合だから。これを続けていかないといけない」と自覚を口にした。

 スキのない野球を徹底する。試合前の三塁側ファウルゾーン。野手の円陣で野村監督がオーダーを読み上げた。練習試合やオープン戦などでは前日に打順が発表されることが多いが、この日はあえて試合前に伝達。指揮官は「シーズン中も、こういうこと(当日に先発を伝えられること)はあること。緊張感を保たないといけない」と言う。スタメン、控えの全選手に集中力を持たせる工夫だった。

 野村カープ初黒星を喫した後は、ベンチでのミーティングで諭す。「2点のあと、1点を取れば、投手も自分たちも楽になる。初回に何で1点を取れなかったかを考えないといけない」。速攻を見せた初回はその後、1死三塁まで進んだが、加点できなかった。好内容に甘んじず、妥協なき姿勢を貫く。【酒井俊作】

 [2010年2月21日10時14分

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