<広島3-10巨人>◇4日◇マツダスタジアム

 巨人のドラフト1位ルーキー長野久義外野手(25=ホンダ)が、広島戦で特大のプロ初本塁打を放った。3-2の4回2死一塁で、左翼スタンド上の防球ネットを直撃する、セ・リーグの新人第1号。1週間ぶりとなる2度目のスタメン出場で、2安打2打点。高い打撃技術を証明するとともに、新人らしからぬ存在感を示した。チームは4連勝で、首位タイに浮上した。

 高く舞い上がった白球をじっくり見届けた。打球が左翼の防球ネットではね返ると、長野は優しくバットを置き、ダイヤモンドを気持ち良さそうに駆け抜けた。「打った瞬間いったと思いました。完ぺきな当たりで最高の感触でしたよ」。セ・リーグのルーキー第1号となる、プロ初本塁打は特大の1発だった。

 4回2死一塁、カウント2-1からの4球目、内角高めの141キロの直球を打ち返した。「追い込まれていたので、何でもいこうと思っていました。振ったところにボールが来ました」。そう振り返った長野の頭には、雪辱の思いがあった。不調の亀井の代わりに右翼手で先発。2回無死一塁の場面で飛球の目測を誤って、二塁打にするミスを犯していた。「守備で判断ミスをしてしまった。何とか取り返したいと思っていたので、ホッとしています」と、安堵(あんど)した。

 打席に入る直前のエドガーのプレーで、嫌な雰囲気が漂っていた。4回1死二塁で7番阿部が右前打を放った。二塁走者のエドガーは、緒方三塁ベースコーチの制止を振り切って本塁に突入し、憤死した。広島に流れが傾きかねないところを、本塁打で帳消しにした。原監督は「(エドガーと)三塁コーチとの連係がうまくいかず、嫌な雰囲気があった中で、チームを救う価値あるホームランでした」とたたえた。

 心は熱く、グラウンドでは冷静だった。3月28日のヤクルト戦以来となる2度目のスタメンにも「試合に出たときは(気持ちは)変わらないですから」と平常心で臨んだ。1打席目の中前打を合わせ、前日から4打席連続安打。本塁打直後の4回の守備では、右翼へのファウルフライを果敢に追い掛け、フェンスに激突。闘志を前面に出したプレーも見せた。

 同じ右打者として、坂本も羨望(せんぼう)のまなざしを向けている。キャンプ中、長野の打撃練習に衝撃を受けた。乾いた打球音とともに、打球が次々とフェンスを越えていく。「スイングスピードやバットの出し方。挙げればキリがないですが、本当にすごいと思います。しかも、打球がめちゃめちゃ飛ぶんですよね」。ともに中距離打者タイプの2人。互いを認め合い、高め合う存在になっている。

 試合後、記念のホームランボールが手元に戻ってきた。届けてくれたファンには関係者を通じ、リストバンドをプレゼントした。「ありがたいです。記念球?

 特に決めてないです。これから考えます」。最後は初々しいルーキーの顔に戻った。【久保賢吾】

 [2010年4月5日8時52分

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