<中日3-1ヤクルト>◇22日◇ナゴヤドーム

 監督、どですか!

 中日のエース吉見一起投手(25)がヤクルト打線を7回1失点に抑え、自身3連勝を飾った。制球に苦しみ7安打を許しながらも、粘りの投球で要所を抑えた。21日の引き分けを受け、先発がしっかり試合を作ることを望む落合監督の要求にもこたえた。これで今カードは2勝1分けと広島で3連敗した悪い流れを断ち切り、上昇ムードで阪神、巨人との戦いに挑む。

 走者を背負っても動じることはなかった。エース吉見が、毎回のようにピンチを背負いながらも、本塁を踏ませぬ粘投。先発陣を引っ張っていく強い責任感が、随所でボールにも乗り移った。

 「きょうはボールが低めに決まらず、全然良くなかったけど、本当に粘り強く投げられたと思う」

 最大のピンチは6回だった。青木、ガイエルに連打され、1死二、三塁で迎えた打者はデントナ。外角フォークで空振り三振を奪うと、続く相川も外角スライダーでまたも空振り三振。普段はボールを低めに集め、ゴロアウトを重ねることが信条の男が、この日は勝負どころで狙い通りの三振を奪い、淡々とした表情でベンチへと戻った。

 「あそこは三振しかないと思ったので、狙いにいきました。相手に勝つという強い気持ちを持って投げた結果だと思います」。落合監督も「これで昨日の引き分けが生きたんだな。悪ければ悪いなりに投げたんじゃないか」と認めた。引き分けに終わった前日、「先発が何イニング投げるかだ」と話していた指揮官の期待にばっちりこたえ、自身3連勝を飾った。

 パ・リーグが開幕した3月20日。吉見は楽天相手に1-0で完封勝ちを収めたトヨタ自動車時代の先輩、オリックス金子に祝福メールを送った。「『おめでとうございます』って送ったら、『オレが一番ビックリしたよ』って返ってきました。(開幕で)完封ってすごいですよね」。先発投手として、そして開幕を任されたエースとして、責任を全うした先輩の姿に刺激を受け、シーズンに挑んでいる。

 この日は7回でマウンドを降り、落合監督からは「ダメだというから代えたんだ。1人で投げきってくれないことにはな。メンバーが若いだけに、ゆくゆくは中4日、中5日で回さなきゃいけない時がくるんじゃないか。誰が中6日って決めたんだ?」と注文も受けた。100%の状態でなくても完投を求められるのは、監督が吉見にエースとしてさらなる成長を願っている期待の裏返しだ。

 次回は27日からの巨人戦(ナゴヤドーム)での先発が濃厚。「倒さなくちゃいけないと思うし、与えられたところで勝ちたいと思います」。自覚も十分。今年こそ打倒巨人の思いを胸に、宿敵に立ち向かう。【福岡吉央】

 [2010年4月23日11時34分

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