<ヤクルト5-6ソフトバンク>◇16日◇神宮

 チームを照らす閃光(せんこう)のような打球が、一、二塁間を一直線に抜けていった。ソフトバンク本多雄一内野手(25)が乱戦に決着をつけた。延長11回2死三塁。「緊張しました」。逃せない絶好機に思わず身を固くしたが、振り抜いたバットはヤクルト増渕のシンカーをとらえた。右前への勝ち越し打。夢中だった。三塁走者明石のホームインも「見ていなかった」。両手をたたき、目いっぱいに喜びを表した。

 本多

 感触はあまり良くなかったけど、安打が出て良かった。僕のエラーで点が入ってしまったので。

 借りを返したかった。2-1と1点リードの6回1死、ゴロの捕球ミスで飯原に出塁を許すと、続くガイエルの内野安打で三塁を狙った飯原を刺そうとして悪送球。2連続失策で同点を許してしまった。「エラーにはなってしまったけど、積極的なプレーだったと思っている」。後悔はなくても、胸の内には燃えるものがあった。同じ福岡・大野城市出身で鹿児島実高の先輩でもある杉内が、悔しさに身を震わせるのを見て「杉内さんが悔しい思いをしたので、チームとして勝ちたかった」と奮い立った。

 足でもアシストした。8回無死一、二塁で打席には小久保。二塁走者の本多は大きくリードを取って投手押本に揺さぶりをかけた。「(盗塁を警戒させて)真っすぐを投げさせようとした」。主将のバットは直球をとらえて勝ち越し3ランを放った。2盗塁とV打。走攻にわたる活躍で、チームは交流戦初の連勝で2勝2敗の5割に戻した。失敗を取り返したからこそ、混戦をモノにできた。

 [2010年5月17日11時31分

 紙面から]ソーシャルブックマーク