<巨人14-8ヤクルト>◇19日◇東京ドーム
首位は譲らない。巨人が今季最多の14得点を挙げ、ヤクルトに打ち勝った。3点を追う6回、6打数連続安打など打者11人の猛攻で一挙7得点を奪って逆転した。負けていれば5月2日以来の2位陥落だったが、ルーキー長野久義外野手(25)が先制の15号3ランに逆転適時打など3安打5打点の勝負強さと前の走者を追い抜かんばかりの激走を見せ、勝利を呼び込んだ。
お立ち台に上がった長野の背中に、ファンの笑い声が降り注いだ。振り返った先には、スコアボードのリプレー映像。高橋の真後ろを懸命に駆ける姿があった。「ぶつかっちゃうかなと思ったけど(生還できて)良かったです。(高橋に)危ねぇよ、と言われました」。クールな男も、この時ばかりは表情を崩した。
“鬼ごっこ”のようだった。1点を勝ち越した直後の6回無死一、二塁、脇谷の放った打球は中堅青木の頭上をわずかに越えた。抜けた瞬間にスタートを切った二塁走者の高橋を、一塁走者の長野が猛然と追いかける。スライディングした高橋の尻に突っ込むように、長野がホームに飛び込んだ。1点にかける執念を体現する力走。拙攻が続いた打線のムードを「イケイケ」に押し上げた。
打線爆発の号砲を鳴らしたのも、長野だった。2回1死一、二塁、外角のスライダーを右翼席に運んだ。「手応えがあったので、打った瞬間に入ったなと思いました」と言う2試合連続の15号3ラン。巨人の新人では広岡氏に並ぶ歴代5位タイに浮上した。5回に左中間への二塁打、6回には逆転の中前2点適時打で3安打5打点。原監督は「満点です」と絶賛した。13日の阪神戦。やはり負ければ首位から陥落となる一戦で、延長12回に決勝打の3ランを放ったのは勝負強い長野だった。
ルーキーの活躍に、打線も原点野球で奮起した。3点を追う6回。松本の二塁打を皮切りに2四死球を挟み6連打。5安打が中堅から逆方向への当たりだった。原監督は「逆方向につなぐというのは、攻撃の上で原点ですから。困った時にそういう打撃をすることがチームを助ける」と評価した。7回には高橋が右越えのダメ押し3ラン。今季最多の14点の猛攻を締めた。
「前向きに」。長野の心には、いつもこの言葉がある。6月下旬、同じ1年目で同学年の星野を食事に誘った。ともに大学、社会人を経てのプロ入り。ドラフト1位と育成ドラフトの違いこそあるが、同じ境遇の仲間が気になっていた。食事中、不安げな言葉を漏らす星野に、長野は熱っぽく、こう語りかけた。「せっかくこの年で夢の世界に入ってきたんだから。何とかチャンスをつかんでやろうっていう気持ちでやろうよ。自分がやってきたことを信じてやっていこう!」。
6月12日の時点で2割3分7厘まで落ちた打率は2割9分5厘に上昇。3割目前まで迫ってきた。「交流戦中は迷惑を掛けたんで、やらなきゃと思う。1打席1打席頑張ります」。ジッと前を見つめ力強く言った。【久保賢吾】
[2010年7月20日8時48分
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