<中日3-2ヤクルト>◇21日◇ナゴヤドーム

 真っ黒に日焼けした背番号4がナゴヤドームで暴れ回った。出場選手登録されたばかりの中日藤井淳志外野手(29)が「6番・右翼」で先発出場。約2カ月ぶりとなるスタメンで走攻守で躍動した。

 見せ場はいきなりやってきた。1回、2死満塁のピンチで6番相川の右前打をすぐさま拾い上げると、本塁へレーザービーム。二塁走者・飯原の突入を阻止した。2回の攻撃では2-2に追いついた直後、左翼線の当たりを好判断と俊足で二塁打にし、2度のタッチアップで3点目の勝ち越しホームを踏んだ。5回にも右前打のホワイトセルを二塁で刺し、6回にはも二塁手の後ろに落ちそうな畠山の打球をキャッチした。

 2軍ではいつも励ましの声をかけてくれた山本昌がマウンドに立っていた。「しんどい時は絶対にある。そこでどう頑張るかが重要なんだ」-。昨季は114試合に出場したが、今季はこの試合まで出場33試合、打率は1割台。真夏のナゴヤ球場で練習の日々。折れそうな心を支えてくれたベテラン左腕をどうしても助けたかった。

 「山本さんにはいろいろと声をかけてもらった。(今日は)山本さんのためにもという思いはあった」。ファンからお帰りの大声援を受けたが満足はしない。試合後は2時間近くも居残りの打撃練習を続けた。シーズンは残り31試合。まだまだの思いは山本昌と同じだ。【桝井聡】

 [2010年8月22日10時50分

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