<ソフトバンク4-2ロッテ>◇27日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンク秋山幸二監督(48)が執念の采配で首位決戦第1ラウンドを制した。2点リードの5回1死満塁で、5勝目目前の先発山田に非情の降板指令。2番手左腕森福を投入し、絶体絶命のピンチをしのいだ。7回以降は必勝リレー「SBM」で逃げ切った。優勝争いの土壇場、指揮官はときに「鬼」になる。

 情を捨てて、勝負手を打った。ゆっくりとベンチから立ち上がった秋山監督が球審に投手の交代を告げた。2点リードの5回1死満塁。勝利投手の権利を目前にしていた先発山田の交代に踏み切った。ロッテ打線は井口、金泰均と右打者が続く場面。交代投手には意表を突く名前を口にした。「森福」。リリーフ陣で唯一の左腕をあえてマウンドへ送り込んだ。大胆な起用は、ズバリ的中。7回以降は必勝リレー「SBM」につないで逃げ切った。首位決戦第1ラウンドで大きな1勝を手にした。

 秋山監督は「山田は(被安打2本で)打たれてはないけど(四死球で)自分から走者を出してテンポを崩していた」と説明した。森福の起用については「想像してくれ」と笑顔でけむに巻いた。高山投手コーチが「今、一番気持ちが入っている。昨日の試合で右打者への対応も見せてくれたし、総合的に判断した」と代弁した。前日26日のオリックス戦では延長11回から2イニングを投げ、右打者3人を含む6人を完全に抑えていた。

 優勝争いが佳境に入り、勝負にこだわる時期に入ってきた。先発投手に勝ち星をつけることに執着すれば、大事な星を落とすことになる。勝負どころを見極め、適材適所の起用が求められていた。また、秋山監督にとって森福は、就任1年目の昨季から期待をかけてきた「秘蔵っ子」でもあった。昨春のキャンプ中、1枚のDVDを渡した。約30年前、同じ左のサイドスローとして西武などで活躍して「左殺し」の異名をとったリリーフ投手・永射保の投球を集めたものだった。「参考にすればいい」。大事な場面で生きることを信じていた。

 「今日の試合は1戦目として大きかった」。みずからの采配でつかんだ会心の勝利にも、緩めたほおをすぐに引き締めた。残り23試合。一戦必勝の態勢で頂点まで突き進んでいく。

 [2010年8月28日11時1分

 紙面から]ソーシャルブックマーク