巨人が弱くっちゃ困るんだ-。中日白井文吾オーナー(83=中日新聞社会長)が見下すようにG倒を宣言した。沖縄キャンプが行われている北谷球場を9日に激励訪問。充実した練習ぶりに球団史上初の連覇を確信したオーナーは「巨人をたたいてこそ野球がおもしろくなる」とライバルを挑発した。

 白井オーナーは満足そうな笑みを浮かべていた。1年に1度のキャンプ視察。各選手が課題克服のためハードな練習に励むチームの姿に球団史上初めてとなる連覇を確信した。

 「同じことをやっている選手が1人もいない。それぞれが課題に取り組んでいるんだな。着々と目標に対して進んでいる。これなら大丈夫でしょう」。

 強気はとどまらなかった。連覇へ最大のライバルとなるであろう巨人の話題になると語気を強めた。

 「うちは打倒巨人というのは変わらない。なぜなら巨人は日本最古の球団で、あらゆる面で経験がある。そこを倒さないと。そこが弱くては困るんだ。野球がおもしろくなくなる。これは巨人の関係者にも直接、言ってある」。

 昨季も打倒巨人の大号令を発した白井オーナーだが、今年はリーグ王座を奪還した余裕からか、巨人に対して「弱くては困る」と上から目線で注文をつけた。巨人関係者にも伝えたというスタンスからも、本気度がうかがえる。

 CSが導入された07年から日本シリーズをかけて戦うのは常にこの2チーム。昨季もリーグ優勝を最後まで争い、CSファイナルステージでも激闘を繰り広げた。強い巨人を落合竜が倒す。中日ファンが最も喜ぶこの構図を崩してはならないと、あえてライバル球団を刺激した。球場に到着するなり、落合監督と約2時間30分にわたって話し込んだ。ただ、その中でも、あらためて打倒巨人を指令することはなかった。

 「言わなくてもわかっているんだよ。全部、承知です」。

 絶大なる信頼を寄せるオレ流指揮官が今年も、打倒巨人を実現してくれると信じていた。

 「野球はガチンコ勝負である。だから、野球はおもしろいんだ」。

 国技といわれる相撲界が八百長疑惑、本場所中止で揺れる一方、中日対巨人のライバル“真剣”対決で国民を楽しませよう-。白井オーナーはライバル同士の白熱バトルを期待していた。【鈴木忠平】

 [2011年2月10日11時30分

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