<日本シリーズ:ソフトバンク1-2中日>◇第2戦◇13日◇福岡ヤフードーム

 3万人を超えるファンと、ソフトバンクの守護神馬原孝浩投手(29)の顔が凍りついた。同点の延長10回2死一、二塁。森野へ投じた147キロの外角直球は、遊撃手川崎の頭上をライナーで越え、内川の前でワンバウンド。痛い、決勝点を許してしまった。第1戦に続く悪夢。仲間への申し訳なさと自分への怒り。感情を整理できないまま、放心状態でマウンドを降りた。「四球が一番反省するところ。切り替えて。次もあるから。(体の)ケアとか、今やれることをやる」と、気持ちの切り替えを強調した。

 前日同様、簡単に2死を取った後だった。荒木に二塁内野安打を許すと、続く井端をストレートの四球で歩かせた。4球目は明らかに高めに抜けたボール球だった。ここまで無安打だった井端を歩かせただけに、秋山監督は「(森野の前打者)井端への四球じゃないか。その辺をピシッといかないとな」と注文をつけた。

 シーズン開幕当初を思い出させる馬原の不調で、本拠地でまさかの連敗スタート。指揮官は悔しさを押し殺し試合を振り返ったが、勝負は紙一重だった。先制された直後の7回。1死満塁の好機で、川崎がフルカウントから浅尾の直球を右前へはじき返し、追いついた。後続が倒れて勝ち越せなかったが、第1戦でもマルチ安打の活躍を見せた切り込み隊長の好調さは連敗の中で、せめてもの明るい光だ。

 8年ぶりの日本一を目指すには、いきなりの厳しいスタート。秋山監督は「次に向かってノビノビやればいい」と、前を向くしかなかった。しかし、守護神が再び試練に立たされ、チームも苦しくなったことは間違いない。

 ▼馬原が第1戦に続く黒星。シリーズで2試合連続敗戦投手は95年第2、3戦の平井(オリックス、現中日)以来16年ぶりで通算8人目。初戦から2試合連続は馬原が初めてとなった。