<DeNA1-2巨人>◇5日◇横浜

 完全復活を印象付ける3カ月ぶりの白星だった。巨人宮国椋丞投手(20)が7回を2安打1失点に抑え、5月1日以来の3勝目を挙げた。右肩を痛めて離脱したが、球速がアップするなどたくましさを増して復帰。DeNAの打者25人と対戦して内野ゴロ15本。4回までは走者を出さない完璧な内容で、ベテラン三浦との投手戦を制した。

 久しぶりの勝利は、やっぱり気持ちがいい。巨人宮国が7回2安打1失点で3勝目を挙げた。試合終了と同時に勢いよくベンチを飛び出し、さわやかに笑った。「1球1球、自分のテンポで投げられた。まだ課題はあるけど、いいピッチングができたと思います」。3つ目のウイニングボールを右ポケットに入れて、はきはき答えた。

 悪夢をようやく払拭(ふっしょく)できた。5月16日、先発したオリックス戦。「2球目に変な音がした。こうやって投げられなくなるのかな…って思いました」と振り返る。右肩に激痛が襲った。頭が真っ白になり1回の投球後にトレーナー室に直行した。1回14球で降板。2カ月間の2軍再調整を強いられた。

 投げられなくなるかもしれない-。最大の恐怖が脳裏をよぎった。だから、地道なトレーニングとも全力で向き合えた。「下半身の強化が中心。でも、上も下もどっちもです。とにかく焦らずにやることだけを考えた」と、再び1軍で戦える体を一から作り直した。7月15日の中日戦で1軍復帰を果たしたが2戦未勝利。球速は3キロほど増したが結果がついてこなかった。

 この日は自己最速タイの149キロを出し、DeNA三浦との投げ合いを制して3カ月ぶりに勝った。「制球力もテンポも良くて、打たせてとる投手。お手本になる」。悪夢を経験したからこそ、目の前にいるプロ21年目のベテランの姿が自身の将来像と強くリンクした。2点のリードをもらった直後の5回1死、後藤にソロ弾を食らい「点を取ってもらった後だったので、意識しすぎて腕を振れなかった。失投です」と反省。一方で、4番ラミレスは「直球をわざと動かした」と、ツーシームで3打席とも凡打させるベテラン顔負けの投球術も披露した。

 ホープの活躍でチームは3連勝をマーク。原監督は「前回より前々回よりもステップアップしてくれている」と目を細めた。復活した宮国も「(次回も)いい体調で臨めれば。それが一番だと思います」と、さわやかに締めくくった。【為田聡史】

 ▼宮国が7回1失点で3勝目を挙げた。この日は打者25人と対戦して打たせた内野ゴロが15本。今季、巨人投手で1試合に内野ゴロ15本は4月5日内海と並び最も多い。宮国が内野ゴロを10本以上打たせたのは、プロ初勝利の4月8日阪神戦10本、同15日DeNA戦11本、完封勝ちの5月1日広島戦13本に次いで4度目。内野ゴロが9本以下の試合は0勝1敗、防御率3・32なのに対し、10本以上は3勝0敗、防御率0・60と、内野ゴロの多い時は好投している。