<日本ハム7-6ソフトバンク>◇8日◇帯広

 ソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が「30球場制覇弾」を放った。1回1死一、三塁。日本ハム八木の直球をたたいた。バットを高く掲げるフォロースルーを添え、先制3ランが左翼芝生席へ飛び込んだ。「引退するまでもう打てんと思ったけど、入るもんやね」。4月7日西武戦以来、4カ月ぶりとなる2号アーチ。過去29球場で本塁打を放っていたスラッガーは、自身最東端となる帯広をコレクションに加えた。

 今季ここまで8打数5安打だった八木を仕留めた。「相性を考えて4番で使ってもらい、1発目のチャンスでものにできたのはよかった」。通算411本塁打のうち4番では281本。通算2000安打も達成した熟練が、故障者続きで日替わり状態になっている4番で流れを呼び込んだ。

 前日6日の6回も、武田勝から左中間フェンス際へ大きな飛球を放った。「とらえた感覚はあったし、一昔前なら入ってるよ」。パワーダウンの発端は昨年苦しんだ首痛にある。オフの手術で痛みは消えた。ただ「バーベルを持っても左腕だけ上がらない」と左上半身の筋力低下が著しかった。

 回復しようにも、腰痛の影響でウエートトレーニングは週2回に制限。理想のコンディションに届かず、軸回転にも以前の切れはない。この日は的確な読みとタイミングを絞ったスイングから放った。試合は今季3度目のサヨナラ負け。それでも、帯広の空に描いた1本の放物線は、小久保自身を勇気づけたに違いない。【押谷謙爾】

 ▼ソフトバンク小久保が帯広で初の本塁打。小久保が本塁打を放った球場は30球場目となった。52年のフランチャイズ制施行後、球場別本塁打は毎日、阪神などでプレーした山内一弘の39球場が最多。現役では阪神金本の33球場がトップ。