ソフトバンク寺原隼人投手(29)が後半の開幕戦で「鬼門」を突破する。球宴期間が終了し、リーグ再開の初戦となる今日24日の楽天戦で先発。舞台となる北九州で、チームはここ8戦で2勝5敗1分けと苦戦しているが、寺原は得意の軟らかいマウンドで首位たたきを狙う。勝ち星がつけば13球団勝利達成となる。

 寺原が大事なリーグ再開の初戦を託された。しかも相手は首位楽天。意気込む顔は、少し日焼けしていた。

 「ソフトバンクが上に上がるためには、たたかないといけない。勝つことにこだわっていきたい。楽天は外国人が当たっているし、1発もある球場なので大量失点しないように気をつけたい」

 球宴期間中、雁の巣の炎天下の中で、順調に調整を続けてきた。

 北九州は両翼92メートルと狭く、打者天国といえる。乱打戦になるケースも多く、チームは09年以降で2勝5敗1分けと鬼門にしている。寺原は7年ぶりマウンドだが、悪い話ばかりでもない。チームメートの大場が快投を予言した。後半戦の開幕投手は、寺原しかないと数日前から周囲に言い続けていたという。ピタリ当て、得意顔になって言う。

 「そりゃ、寺原さんしかいないでしょ。まず、マウンドが軟らかい。寺原さんは得意ですからね。しかも屋外だから照明もドームに比べて暗く感じるし、打者からしたら球が速く感じる。球が速いピッチャーの方がいいんですよ。巨人の沢村も今年、屋外で3勝してるでしょ。僕は球が遅いからダメですけど」

 寺原は屋外の暑さ対策も施す。いつも夏場は半袖で投げるが、今回は長袖でマウンドに上がるという。そのココロは…。「ナイターだけど、まだ試合開始直後は暑いと思う。汗をかいて手までたれてくるとボールが滑るし、嫌なので。投げにくかったら半袖に替えたらいい」。長袖を汗止めにしようという考えだ。

 パディーヤがリリーフに回り、先発で寺原にかかる期待はより大きくなった。楽天に勝てば元西武工藤(日刊スポーツ評論家)巨人杉内に次いで3人目の「現12球団+近鉄」の13球団勝利となる。福岡の「鷹の祭典」の初戦。「声援もすごいだろうから選手は力をもらえると思う」。ガッツパープルに染まるスタンドに背中を押され、巻き返しの先陣を切る。【大池和幸】

 ◆寺原の北九州登板

 過去1度だけある。06年6月28日のオリックス戦で先発。初回、ソフトバンクがズレータの3ランなど4点を先取したが、寺原は5回途中3失点で降板。勝ち負けなし。試合は6-6の9回、松中の左前打でサヨナラ勝ち。