足軽ジャパンからいでよ、近未来のサムライ!

 巨人の立岡、松本竜、辻、荻野、柴田の若手5選手が23日、アジア・ウインターリーグ(26日開幕)に向けて開催地の台湾へ出発した。セ・パ6球団による日本選抜チームの一員に組み込まれたヤング・ジャイアンツ。監督を務める大森剛育成部ディレクター(46)がピッタリな愛称をつけた。「足軽ジャパンですよ」と本家・日本代表の侍ジャパンに対抗?

 するように言った。

 武士の最下層に位置する身分をあえて呼び名につけたのは、ハングリー精神を養ってほしいからだ。試合への都市間移動は日本の新幹線に当たる高速鉄道を使わずにバス移動。台北から台中は鉄道なら約1時間だが、バスなら3、4時間を要する。日本食を持ち込むこともしない。大森ディレクターは「それも修業のうちですよ」と当然とした。いろんな環境に対応できるタフさが“出世”には求められる。

 第1回の昨年は脇谷、中井、河野、大田らが参加。打率3割2分5厘の成績を残した中井は今季のブレークにつなげ、河野も初の開幕1軍入りを果たした。ウインターリーグを戦場に、足軽を卒業する選手が出てきた。

 今年46試合に出場した立岡は野心を燃やす。「ソフトバンク時代に7時間のバス移動もあったし、日本食もいらないです。向こうでは守備の力をつけたい。井端さんが来たら1つのポジションでは厳しい。複数できるようにしたい」と意識を高めた。下克上を起こし、足軽から抜け出す。【広重竜太郎】

 ◆アジア・ウインターリーグ

 メジャーの中南米での同リーグを見習い、シーズンオフ冬季の温暖な気候を利用して若手選手の育成を目的としたリーグ戦。かつては王貞治氏がソフトバンク監督時代に「若い選手は一年中プレーした方が良い。アジアでもウインターリーグをやった方がいい」と提唱していた。台湾プロ野球連盟が主催で日本、台湾、韓国(昨年は不出場)ドミニカ共和国が参加する。日本は巨人、阪神、中日、DeNA、ヤクルト、ソフトバンクがメンバーを派遣。総当たりの計21試合を戦い、12月21日には上位2チームで決勝戦を行う。昨年が第1回大会で日本が優勝した。

 ◆侍と足軽

 時代によって変化しているが、戦国時代以降、侍は上級武士、足軽は合戦の際に歩兵となった下級武士を指した。足軽は鉄砲、弓、やりなど部隊に編成され、功績を認められると侍に出世する者もいた。戦国大名として天下統一を果たした豊臣秀吉は、織田信長に仕えた足軽出身。