ヤクルトの「ライアン」こと小川泰弘投手(23)が10日、都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4400万円増の5600万円でサインした。球団の新人としては04年に新人王を獲得した川島亮の4200万円を抜き、球団史上最高額に到達。チームは最下位ながら、最多勝と最高勝率の2冠で新人王を獲得。将来のエース候補は、巨人菅野と同じ昇給率の367%という最大級の評価を受けた。(金額は推定)

 普段はポーカーフェースの小川が、思わずほおを緩めた。チームは最下位ながら16勝4敗の好成績が高く評価され、新人として球団史上最高額でサインした。初の契約更改後の会見は「5000万円を超えてくれればいいかなと思っていた。最大限評価していただいて感謝しています。時計とか車とか欲しいです」と、初々しさ全開で始まった。

 そんな笑顔も、会見序盤で消えた。「上には上がいる」。同じ新人の巨人菅野と楽天則本には、年俸で上を行かれた。「リーグ優勝、日本一を勝ち取っていないので、差が出ても仕方がない」と言うが、昇給率は菅野と同じ。それでも「2人とも直球で押せるしアウトローの制球は自分よりたけている。追いつきたいし、追い抜きたい。悔しいというより、来年しっかりやれば(年俸も)抜けるかもしれない」と負けん気を見せた。

 だからこそ、ここで浮かれてはいられない。年内は「ライアン小川」誕生の地でもある母校の創価大などで走り込み中心に体力強化を図る予定だ。「満足すれば高みには届かない。2億とか3億とか、毎年しっかり積み重ねているからそういう評価になると思う。やるからにはそういうところを目指したい。毎年が勝負」と、表情を引き締めた。

 契約更改後、「今日でしっかり区切りがついた」と晴れやかに言った。来季は「柱」として期待される。「優勝争いに食い込んだ中で数字を残すのが必要。1番は優勝。1年間けがせずローテーションを守って200投球回を目指したい」。過去の成功体験に浸らず、エースとして迎える来季を見据えた。【浜本卓也】