<ソフトバンク1-5日本ハム>◇1日◇ヤフオクドーム

 日本ハムの新助っ人ルイス・メンドーサ投手(30)が、来日初登板初先発で初勝利を挙げた。開幕から負けなし3連勝のソフトバンク相手に6回2/3を4安打1失点に抑えた。日本ハム新外国人の初登板初先発初勝利は02年4月2日オリックス戦のシールバック以来12年ぶり。強力打線を手玉に取り、メジャー通算16勝の真価を発揮した。

 ウソのような快投劇だ。メンドーサが普段通りの軽いノリで自画自賛した。「素晴らしいスタートを切れて満足。文句の付けようがない」。来日初登板&初勝利に自らを褒めちぎった。3戦連続2ケタ安打、計36安打のソフトバンク打線を4安打1失点。内川、李大浩、長谷川の中軸は1安打に沈めた。6回2/3で91球とテンポも守った。「すごく良い打線に良い投球が出来た」。02年シールバック以来、12年ぶりの快挙の白星を手にした。

 魔球が勝負どころで光った。決め球チェンジアップは来日当初「手の内を見せる必要ない」と本人の希望で隠し続けてきた。三振も取れる効果的な球は、栗山監督ら首脳陣から使用ストップがかかるほど。オープン戦の3月18日の対戦では1球も投げずに封印。キャンプ中から開幕までの実戦でも極力、使用を避けてきた。3回2死二塁、内角低め130キロの落差ある魔球で中村を中飛。7回1死三塁では長谷川を空振り三振と左の巧打者2人を完璧に切った。指揮官は「やっぱり隠していたかいがあったよね」と褒めた。

 メジャー通算16勝の、おごりはない。愛称は「メンディ」の陽気なメキシカン。ジョークを言って「ボケ役」を買うことも多いユニークなキャラクターで来日後、すぐにチームに溶け込んだ。太陽のような笑顔でチームメートとの壁を取り払ってきた。グラウンドでは暗い表情を見せないのがポリシー。「みんなが楽しくなるように明るく振る舞うようにしているんだ」。無類の明るさでチームの雰囲気も盛り上げてきた。

 愛する人に支えられ苦しみを乗り越えてきた。離れ離れになる来日時、両親の涙にもらい泣きした。春季キャンプ中は毎日、メキシコにいるモニカ夫人(25)とテレビ電話で連絡を取り合った。異国での再スタートは孤独との闘いでもあった。「会いたいよ」「寂しいよ」と妻の前では弱音をこぼしていた。

 この日、来日中の愛妻からパワーをもらっていた。三塁側席で観戦していた姿はマウンド上で確認済み。立ち上がりの緊張をほぐしてくれた。「彼女のサポートが今日までの力になった。この後はお祝いだね」。新たに生まれた2人の記念日はエープリルフール。とびっきりの笑顔が愛の力の大きさを物語っていた。【田中彩友美】<ルイス・メンドーサ

 アラカルト>

 ◆生まれ

 1983年10月31日、メキシコ・ベラクルス生まれ。

 ◆球歴

 00年にレッドソックスとマイナー契約し、06年にレンジャーズへ移籍して07年メジャー初昇格。09年8月にレンジャーズ傘下3Aで、11年7月にロイヤルズ傘下3Aでノーヒットノーランを達成。昨年3月のWBCではメキシコ代表。日本ハムとは2年契約で年俸は1億円。

 ◆メジャー通算

 7年で90試合(先発56試合)に登板し、16勝25敗、防御率5・39。

 ◆個性派ヘア

 後ろ髪を伸ばすロン毛スタイル。00年に16歳でレッドソックスとマイナー契約したときはできなかったが、07年にレンジャーズでメジャー初昇格を果たすと同時に長髪を解禁し、今まで貫き通している。

 ◆愛妻家

 モニカ夫人(25)と一緒に旅行するのが趣味。

 ◆イチローと意外な接点

 レンジャーズ在籍時の08年7月、当時マリナーズのイチローに日米通算3000安打を浴びた。

 ◆座右の銘

 毎日が勉強だということを、忘れるな。知識が増えることで、損することはない。

 ◆サイズ

 191センチ、111キロ。右投げ右打ち。

 ▼日本ハム・メンドーサが来日初登板初先発で初勝利。02年4月2日のオリックス戦でシールバックが7回を2失点に抑え勝利投手となって以来12年ぶり。北海道移転後では10年9月3日のロッテ戦で中継ぎから先発に転向したウルフが初先発初勝利をマーク。