<ソフトバンク4-1楽天>◇15日◇ヤフオクドーム

 初めましてスタン、リッジです!?

 ソフトバンクのジェイソン・スタンリッジ投手(35)が古巣に復帰後初勝利を挙げた。今季3度目の先発は9回途中4安打1失点。完封こそ逃したが、ホークスでは登録名がスタンドリッジだった07年10月2日オリックス戦以来2387日ぶりの白星。チームは4連勝で首位並走のオリックスとともに10勝に到達。15試合目で秋山監督就任後は最速ペースだ。

 6季ぶり復帰の右腕が待望の1勝目だ。スタンリッジは念願だった長男キャッシュ君(5)とのお立ち台が実現。久しぶりに味わう福岡のファンの歓声を、心地よさそうに浴びた。

 「息子とここに立てて最高の気分。みんな打ってくれたし、楽な気持ちで投げられた。最後も締めたかったが、サファテの手を借りることになった。でも勝ててよかった」

 8回を終えて109球。続投志願も、1死二、三塁を招いて降板した。「完封は意識した。次にとっておくよ。四球が多かったのが課題」。それでも十分すぎる内容だった。

 秋山監督は「左を完璧に抑えていた」と絶賛した。両打ちの松井稼を含め、スタメンに左打者が7人並んだ楽天打線を封じた。5回まで許した安打は嶋の1本だけ。「左は特に意識しなかったが、低めに球を集められた」。過去の国内6シーズンで苦手にした左打者を、今季は1割7分9厘と封じ込めている。

 最愛のジョイ夫人が18日に誕生日を迎える。昨年は遠征中に銀座に出かけプレゼントを購入。今年に関して「秘密だよ」と明かさなかったが、うれしい前祝いを飾れた。「この勝ち星だけでは許してくれないと思うので」。ハッピーなニュースを数多く届ける。

 イニング間にベンチでペンを握った。青いバインダーの中身はチームごとに分類。対戦選手の名前が列挙されている。「ノートにつけることで結果、配球、球種、コースをしっかりメモできるし次に生かせる。最初の2試合もやるべきだったがノートを忘れたりしたんで」。先週の東京遠征中に都内の雑貨店ロフトで購入。阪神時代の習慣を再開し、結果につながった。

 チームは15試合で10勝目。秋山監督は「やっと二回り目だな」と意に介さなかったが、現球団名となってからはソフトバンク元年の05年と並ぶ最速ペースだ。立役者となった右腕は「前にいたときより年をとったし白髪も増えた。オフにオファーをもらって福岡に決めたが、いい決断をしたと思う」。古巣への恩返しはまだまだこれからだ。【大池和幸】

 ▼ソフトバンクが10勝5敗で、オリックスとともにパ・リーグ10勝一番乗り。ソフトバンクの同一番乗りはダイエー時代の02年(10勝4敗1分け)以来、12年ぶり。15戦での10勝は05年(10勝5敗)以来で、秋山監督就任後最速。