巨人が、DeNAユリエスキ・グリエル内野手(30)の獲得を目指して調査を行っていることが25日、分かった。キューバ政府は昨年9月、自国選手が他国でプレーすることを認めた。来季の契約に関し、キューバ側との交渉には前例がない。チーム関係者が現地入りし、あらゆる事態を想定している。DeNAもグリエル残留を補強の最優先と

 して動いており、タフな一騎打ちとなる可能性が高い。

 巨人がグリエルの調査に本腰を入れている。キューバ代表は、先週までメキシコで行われた中米、カリブ海地域の野球大会に参加していた。グリエルはセペダ、デスパイネとともにメンバー入り。主に3番を打ち、全勝優勝に大きく貢献。中南米に拠点を置く球界関係者の話を総合すると、巨人の担当者が現地に赴き、入念なチェックを行った。現地駐在のスカウトも視察を継続している。かねて高かった評価を確固たるものとし、獲得を目指した調査を進行している。

 DeNAもグリエル残留に全力を注いでいる。巨人と同様に駐米スカウトをメキシコに派遣し、全試合をチェック。10月からキューバ側へのアプローチを継続し、条件提示を済ませている。今季途中に加入し打率3割5厘、11本塁打、30打点の成績を残した助っ人の力を再確認し、補強の最優先事項と位置づけている。

 一般論として、球団は、来季の契約を望む選手について、今月末に締め切られる保留者名簿に名前を残す。しかし、国公認のもとキューバ選手の海外移籍が可能となったのは、今季が初めて。契約の更新、移籍などについて前例がないため、保留者名簿への記載を含めて流動的な状況となっている。多くの球界関係者が「キューバとの交渉は長引く。簡単にはいかない」と口をそろえるように、契約に至るまでには多くのハードルが存在する。

 通常の外国人選手なら、球団と代理人が来季の契約について交渉を重ね、11月下旬には大詰めを迎えている。キューバ選手は国内リーグの真っ最中である上に、交渉相手が個人単位ではない。密な話し合いは12月以降に本格化する。

 来月中旬をメドに、キューバ側が選手契約についての委員会を設けるという。委員会では選手との面談を行い、希望などをヒアリングし、総合的に派遣先を判断するという。金銭面はもちろんだが、コーチ派遣など付帯条件の提示を受ける可能性も十分にある。

 巨人もDeNAも、グリエルの力量に対する極めて高い評価は共通している。一筋縄ではいかない交渉を覚悟し、マッチレースに挑む。