お値打ち補強だ!

 選手調査や獲得でドミニカ共和国のウインターリーグを視察していた中日森繁和ヘッドコーチ(60)が15日、名古屋市内の球団事務所で帰国報告した。内定していたラウル・バルデス投手(37)ら3選手の獲得を正式発表した。3選手の年俸総額が95万ドル(約1億1400万円)と「お手頃価格」で補強ポイントを充実させた。(金額は推定)

 今回も「お値打ち路線」を進んだ。ドミニカ共和国への出発前は“大物取り”も想定した森ヘッドだが「今回は勝負してもいいという予算をもらったが、なかなかうまくいかないところが出た」と約1カ月半の滞在中に現実路線に切り替えた。そこはブランコ、ネルソンら優良助っ人を発掘した仕事人。日本野球に適合する個性豊かな3選手を探し出した。

 (1)ラウル・バルデス投手(ブルージェイズ3A)契約金600万円、年俸4800万円

 キューバ出身で、獲得3選手でただ1人のメジャー経験者。最速145キロに満たない軟投派左腕は、完投能力がある。37歳と助っ人にしては“ベテラン”。森ヘッドは「ゲームを作ってくれれば。1年でもいい。本人の意気込みを買った」と期待する。

 (2)アマウリ・リーバス投手(28=台湾・統一)契約金600万円、年俸3000万円

 右の本格派。森ヘッドは「頭数はいくらいてもいい」と左腕バルデスとともに先発として想定している。特徴は同ヘッドが「面白い変化球を投げる」という予測不能のチェンジアップ。

 (3)リカルド・ナニータ外野手(33=メキシカン・リーグ)契約金600万円、年俸3600万円

 当初は大砲獲得を狙っていたが方針転換。守備も重視した。「ホームラン打者を追っかけたけど穴が見えた。ちょっと小ぶりかもしれないけど、率は残せる」(森ヘッド)。球団内からは「左のルナ」との声もある。

 単純な比較は出来ないが、3選手の年俸総額95万ドルは阪神ゴメスの来季年俸2億400万円にも満たない。独自路線で獲得した新助っ人たちには「お値段以上」の活躍を期待したい。【桝井聡】

 ◆ラウル・バルデス

 1977年11月27日、キューバ生まれ。ドミニカ共和国に亡命後、04年にカブス入り。10年にメッツでメジャーデビュー。今季はアストロズで8試合登板。最終所属はブルージェイズ。メジャー通算103試合で7勝7敗、防御率5・13。180センチ、95キロ。左投げ左打ち。背番号44。

 ◆アマウリ・リーバス

 1985年12月20日、ドミニカ共和国生まれ。05年に19歳でブルワーズ入り。メジャー経験なし。11年に3Aで先発として28試合に登板し7勝12敗、防御率3・72。12年は3Aで主に中継ぎで5勝8敗、防御率5・24。今季は台湾・統一でプレーした。185センチ、100キロ。右投げ右打ち。背番号42。

 ◆リカルド・ナニータ

 1981年6月12日、ドミニカ共和国生まれ。米フロリダ国際大から03年ドラフト14巡目でホワイトソックスと契約。今季はブルージェイズ3Aとメキシカン・リーグに所属。3A6年間で334試合、打率3割2分、35本塁打、194打点。182センチ、93キロ。左投げ左打ち。背番号60。