<明治神宮大会:創価大9-2富士大>◇14日◇大学の部1回戦◇神宮

 富士大(北東北)は創価大(東京新)に7回コールド負けした。来秋ドラフト候補右腕で、2年前の大会でノーヒットノーランを達成した多和田真三郎(3年=中部商)が先発も3回2/3を6安打7失点で降板。初回に自己最速の151キロをマークしたが、その後、球が上ずり6四死球と乱れた。

 エースのまさかの乱調で富士大がコールド負けを喫した。多和田は試合後「申し訳ない気持ちでいっぱい」と声を振り絞った。1回裏、創価大の先頭正木への3球目に、自己最速を2キロ上回る151キロをマーク。だが、球威があるのが逆に悪い兆候だった。ベンチの豊田圭史監督(30)は「力んでいて調子が良くない」と感じていた。

 つかまったのは相手の打順がふた回り目に入る3回だった。140キロ台後半を連発するも、力んで球が高めに浮いた。3四球と4安打を浴び一気に5失点。続く4回にもタイムリーと押し出しで2失点し、降板した。7失点は、昨年の全日本大学選手権で明大に敗れた時以来の大学自己ワースト。「四球が多かった。自分の力不足だったと思う」と振り返った。

 だが、誰も多和田を責めない。バッテリーを組んだ小林遼(1年=仙台育英)は「151キロが出て速球で乗り切ろうと思ったが、甘い考えだった。単調になってしまった」とリードを反省した。主将でドラフト西武3位の外崎修汰(4年=弘前実)は「ここに来られたのもあいつのおかげ」と感謝した。

 ノーヒットノーランを達成した2年前より、ひとまわり体は大きくなり、経験も積み、エースとして成長したはずだった。多数のスカウト陣が見守る中、思うような投球は出来なかったが、まだ2度全国を目指す機会はある。多和田は「4年でしっかりピッチングできるように…、やっていきたいです」。涙をこらえながらリベンジを誓った。【高場泉穂】