<明治神宮大会:駒大3-0明大>◇19日◇大学の部決勝◇神宮

 阪神から3位指名された駒大・江越大賀外野手(4年=長崎海星)が「秋の日本一」に輝いた。4番を任され、8回2死一、三塁で2点二塁打を放ち、明大を3-0と突き放した。0-0の6回には遊ゴロで一塁にヘッドスライディング。一塁手の失策を誘い、均衡を破った。学生最後の大会でラッキー男ぶりを発揮し、駒大を13年ぶり5度目の優勝に導いた。

 「持ってる男」かもしれない。江越のバットがとらえた打球は、力なく中前へ上がった。8回2死一、三塁。中堅、遊撃手が必死に追うが届かない。両者の間でポトリと落ち、記録は二塁打となってダメ押しの2点が入った。「内野手が怪しい追い方をしていたんで期待して走りました」。試合終了直後、涙を流して優勝を喜んだ江越がニッコリ笑って振り返った。

 4番が「駒大野球」を実践してつかんだ優勝だった。「泥くさくやっていく野球。凡打しても全力疾走です」。6回に挙げた先制点もそうだ。2死三塁。カウント3-0から放った打球は遊撃正面をついた。それでも諦めない。50メートル5秒8の快足が全力疾走。頭から突っ込むと、一塁手が送球をはじいて三塁走者が生還した。

 その名は「大賀」。阪神の指名を受けたドラフト当日は「大賀とタイガース。縁があるんですかね」と喜んだ。実は命名の由来は知らず、指名後、実家に連絡して聞いた。「父が大工なんで、大は土台のしっかりした人間に。賀はみんなに祝ってもらえるようにということのようです」。

 来年からはタイガースで次のステージが待っている。「まず1軍定着を目指したい。長打はもちろん走・守もアピールできたら。山崎(明大=オリックス1位)とは日本シリーズでやりたい」。初の日本一に涙した目が、早くも来季を見据えていた。【米谷輝昭】

 ◆江越大賀(えごし・たいが)1993年(平5)3月12日、長崎・南島原市生まれ。長崎海星では投手兼外野手。3年夏は県準優勝。高校通算26本塁打。駒大では1年春から東都大学リーグに出場、3年春から4番。13年には大学日本代表で日米大学野球に出場。

 ◆日本一で虎入り

 明治神宮大会で優勝しての阪神入団は77年法大・植松精一、89年近大・岡本圭治、99年九州共立大・的場寛壱に次いで4人目。社会人の日本選手権優勝からは75年鐘渕化学・宮田典計、84年住友金属・嶋田宗彦、91年日本石油・久慈照嘉、98年NTT関東・金沢健人、99年シダックス・松田匡司がいる。