花巻東(岩手)の最速155キロ左腕、菊池雄星投手(3年)に対して、米大リーグのレンジャーズが、現役大リーガーが同席するサプライズを用意した。19日、花巻市の同校で、大リーグ4球団と面談を行った。1番手ドジャースはローガン・ホワイトGM補佐ら3人、レッドソックスはジョン・ディーブル環太平洋スカウト、ジャイアンツはジョン・コックス環太平洋スカウトらが訪問。レンジャーズは今季8勝(13敗)を挙げた新人左腕、デレク・ホランド投手(23)が訪れ、異例の面談となった。20日は大リーグ4球団と面談する。

 これも一流のアメリカンジョークなのか。3番手で面談に臨んだレンジャーズが、菊池もびっくりのサプライズプレゼントを用意していた。コルボーン環太平洋スカウトらに続いて、現役大リーガー、ホランドが花巻東に現れた。さらに手には大きな石川遼の等身大パネル…。

 30分間の面談を終えると、コルボーン環太平洋スカウトはパネルについて、「それはちょっとシークレットです」と日本語で言いながら、「ポスターを破って、実際の遼君が出てくるパフォーマンスをしようと思った」とジョークで返した。真意は石川遼のように世界に羽ばたく男になれというメッセージと思われる。ただホランド自身は「球団の意図はよく分からない…」と、あまりゴルフの知識がないようだった。

 それでもホランドが来たことが最大のサプライズだった。新人として今季1年間ローテーションを守り、33試合に登板。8勝13敗の成績を残した。「大リーグはどうなのか、実際に伝えるために来た。彼は興奮していた」と満足顔だ。育成方針や施設面などを重要視する菊池にとって、現役選手の言葉は一番なのかもしれない。

 レンジャーズは今季途中まで楽天福盛が在籍していたが、他球団に比べて日本人にとってはなじみが薄い球団ではある。限られた時間の中で、最大限のアピールを狙った。コルボーン環太平洋スカウトは、大リーグ歴代最多5714奪三振を誇るノーラン・ライアン球団社長の言葉も用意。「菊池君によろしく、と言ってました」と伝えた。

 国内を基本路線とする菊池に熱意は通じたのか。石川遼パネルは「最後に渡したら、笑っていた」(ホランド)と、満足そうにタクシーに乗り込んだ。【前田祐輔】