<明治神宮野球大会:東北地区大学代表決定戦・八戸大2-0東北福祉大>◇24日◇決勝◇仙台市民球場

 ドラフト会議(28日)を目前にして、八戸大(北東北)のプロ注目左腕・塩見貴洋(4年=愛媛・帝京五)が、切望する1位指名に向けて猛アピールした。神宮出場をかけた東北福祉大(仙台6大学)との代表決定戦で1四球のみのノーヒットノーランを達成。チームを、3年ぶり3度目の明治神宮野球大会(11月13日開幕)出場に導いた。

 「運命の日」を4日後に控えた塩見の、最高のアピールだった。1回戦(23日)で5安打12奪三振で完投勝ちした東北福祉大との再戦。敗者復活戦を勝ち上がった相手との代表決定戦で、負ければ2戦勝負になる心配もあったが「一発で決めるつもりでした」。

 全国切符をかけた大一番で自身初の9回ノーヒットノーラン。許した走者は8回の四球の1人だけ。3連投のせいか、速球は145キロ止まりだったが切れは十分。制球力を生かして打たせてとる投球がさえた。「5回が終わってから意識しました。最後まで欲を出してはだめだと思って投げましたが、ちょっと残念」と苦笑いした。

 帝京五3年夏の1回戦(今治南大島戦)で13者連続を含む計14奪三振の5回ノーヒットノーラン。大学リーグ初勝利を挙げた昨春のノースアジア大戦で8回完全。今春の東北大学野球選手権・準決勝(東北学院大戦)でも7回ノーヒットノーランと、参考記録ばかりだったが、やっと「参考」を外した。記念ボールは、すべて実家の母晴美さん(48)に預けている。強豪相手の正式記録に「プレッシャーはありましたが、すごくうれしい。自信になりました。(ボールは)母の元に送ります」。

 八戸大では2年秋まで腰の疲労骨折などの故障に泣いた。だが、全国デビューになった6月の全日本大学野球選手権で4強入りするなど、にわかにプロの注目を集めた。ケガを克服して迎えた収穫の秋。すでにセ、パ12球団すべてに調査表を提出。この日も4球団のスカウトが熱視線を送り、日本ハムの今成泰章スカウトは「(球を)しっかりとコントロールしていて切れもいい」と評価した。

 今夏も大学日本代表候補に選ばれたが、2年連続で代表落ちする悔しさを味わった。今季、大学左腕NO・1にこだわる塩見は「いいアピールができました。外れ1位でもいいからトップで指名されたい。どこにでもいくつもりです。気分良く神宮で優勝を目指したい」と運命のドラフトを見据えた。【佐々木雄高】