日本ハムからドラフト4位指名された九産大の榎下陽大投手(4年=鹿児島工)が29日、福岡ヤフードームで行われた九州大学野球選手権準決勝の名桜大(沖縄)戦で自身初のノーヒットノーランを達成し6-0で勝利。榎下はダブルヘッダーとなった決勝の九国大戦でも7回2死一、二塁から登板し、こちらも無安打に抑え8-4で勝った。九産大は2年連続の優勝を果たし、明治神宮大会(11月13日から、神宮)への出場を決めた。神宮が榎下の大学ラストマウンドになる。

 ドラフト指名翌日に、ドでかいことをやってのけた。人生初のノーヒットノーランを達成。リーグ戦では無安打に抑えながら敗れた苦い経験がある。念願の「ノーヒッター」となって生まれ育った九州でのラスト登板を飾った。

 「投げやすくて大好き」という福岡ヤフードームのマウンド。1回は四球と失策で1死満塁のピンチを招いた。2回も失策で走者を出したが、回を追うごとに調子が上がってきた。「体重がかかとに乗っていたのを少し前の方に置くようにしたら良くなったんです」。中盤からは変化球が低めに決まり、3回以降は1人も走者を許さなかった。直球は最速の150キロには及ばない140キロ前半だったが、制球を重視して10奪三振。決勝でも7回2死一、二塁で急きょ出番が来た。見事に火消しを果たし、最後まで無安打に抑えた。

 ドラフトから一夜明け「昨日はゆっくり眠れました」と晴れ晴れと笑顔を見せる。前日は祝福のメールが90件届いた。「家族に5件ぐらいしか返信していないので、今日全部返信します」。チームメートとなる1位指名の早大・斎藤佑樹投手(22)にも「よろしく」と電話をかけた。

 大学の最後は神宮で締めくくる。斎藤が神宮出場を決める可能性もある。「大学最後に斎藤とやれたら最高ですね。今は早大相手にも負ける気はしません」と対決を希望。4年前の甲子園では準決勝で斎藤擁する早実に敗れた。そのリベンジを果たせば、次のステージへの最高のスタートになる。【前田泰子】