<プロ野球ドラフト会議>◇25日

 ずっとこの日を夢見ていた。巨人から単独指名された東海大・菅野智之投手(23=東海大相模)は、満面の笑みで会見場の席に着いた。「小さい頃からの夢だった球団に入れて、とてもうれしいです。この1年、つらいと思うこともたくさんあって、心が折れそうな日もありましたが、すべて報われた気がします」。2年越しの歓喜はひとしおだった。

 昨年、1位指名の日本ハム入団を拒否。浪人生活はいばらの道だった。対外試合は一切出場不可。世間の目も厳しく、入団拒否表明直後は電車にも乗れなかった。「目先の目標がなくて、ゴールのないトンネルの中を走っているようでした」。今年もDeNAが1位候補に残したが、16日には横井人輝監督(50)が「意中以外なら米国」と菅野の胸中を代弁。貫き通した「巨人愛」がやっと実った。

 原監督は「伯父さん」から「監督」に変わる。「自分がこういう立場にいるのは、伯父さんのおかげもある。活躍が何よりの恩返し」と、鍛錬の成果を証明するつもりだ。駆けつけた原監督に、背番号「19」のユニホームを着せてもらうと「あらためて実感が湧いてきました。数々の選手が築き上げてきたものがある。その名に恥じないようにしたい」と目を輝かせた。

 これで1つ、大きな夢をかなえた。だが本当の勝負はプロに入ってから。「1位は即戦力の働きをしなきゃいけない。ローテーションを守りたい。5年後、10年後に、あの1年があってよかったと思いたいです」。原監督の言葉「夢進」を好んで使ってきた菅野。次なる夢は、憧れのユニホーム姿で実現する。【鎌田良美】