先祖譲りの器用さでプロを生き抜く!

 日本ハムに4位指名された山形中央の石川直也投手(18)が10日、山形市内で入団交渉を行い、仮契約を結んだ。契約金は3000万円、年俸520万円(いずれも推定)。石川は、曽祖父から父貢さん(53)まで3代続く大工の家系。引き継いだ手先の繊細な感覚を生かし、プロでは変化球の種類を増やして、日本を代表する投手になると誓った。

 仮契約を終えた石川は「ここがスタートライン」と表情を引き締めた。「まだ(プロ野球選手になる)小さな夢がかなっただけ。一番の目標は長年活躍する選手になることです」。もの静かで口数は少ない。その分、一言一言に思いが込められていた。

 「大工になるかプロに行くかどっちかだ」。昨秋、庄司秀幸監督(38)から言われた言葉でプロを目指すと決意した。石川家は曽祖父から父貢さんまで、3代続く大工の家系だ。石川も庄司監督から「大工も向いていたと思う」と指摘されるほど手先が器用。小学生からリンゴの皮むきをこなし、絵画コンクールで魚の絵を描いて賞をもらったこともあるという。

 191センチの長身で、右手の中指先から手首まで約21センチ。大谷(日本ハム)の20センチ、藤浪(阪神)の20・5センチより大きい手には、天性の繊細な感覚があり、そのまま野球にも生きる。高校時代に使った球種は最速148キロの直球とフォーク、スライダー、カーブのみだが、練習では遊びでカットボール、シュート、チェンジアップなど多彩な球種を操っていた。「直球があるからフォークが生きる。そこをうまく使っていきたい」。日本ハムの先輩ダルビッシュ(レンジャーズ)のように、球種を増やし、強さと器用さを兼ね備えた投手を目指す。

 侍ジャパンの試合があったこの日、「日の丸を背負える選手になりたい」と、新たな目標も掲げた。庄内町の実家は祖父幸二さんが自分の手で建てたもの。石川家に伝わる手先の感覚を武器に、プロの世界で自分の城を築く。【高場泉穂】

 ◆石川直也(いしかわ・なおや)1996年(平8)7月11日、山形県庄内町生まれ。余目二小3年から余目スポーツ少年団で野球を始める。余目中では投手。山形中央では1年秋からベンチ入り。昨春センバツでは2試合に救援で登板。今夏の甲子園では3試合に登板。16強入りに貢献した。191センチ、80キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄2人。