中日荒木雅博内野手(32)が22日、今オフ電撃引退した阪神赤星憲広外野手(33)を接待するプランを明かした。毎年のように盗塁王タイトルを争ったライバルの労をねぎらい、同時に盗塁の極意を聞き出すのが狙い。この日、名古屋市内の球団事務所で臨んだ契約更改交渉では2500万円アップの1億7500万でサイン。来季ノルマにあらためて自己ベストとなる50盗塁をあげ、3年ぶりタイトル奪回を目標に掲げた。

 荒木が、かつてのライバル赤星を、赤星の地元でもある愛知県の焼き肉店に招待する。目的は、和やかに食事しながら盗塁の極意を伝授してもらうこと。これまでライバル球団ということもあり相談を控えてきたが、引退してフリーな立場になれば話は別。「ボクのいきつけの店です。ノートとペンを持っていきますよ」と話した。

 独特の盗塁理論を持つ荒木にとって、技術を取り入れたいと思える数少ない選手の1人が赤星だ。「あの人は、この投手は走れないと思う投手から走る。速いというよりうまい」。スライディングの速さ、スルスルとスタートしてトップスピードに入るテクニック…。一流同士にしかわからないアドバイスを得られれば、盗塁数を増やすきっかけになるのは間違いない。

 もちろん、接待の本来の目的は、不本意な引退を余儀なくされた赤星をねぎらうこと。毎年のように盗塁王を争った仲。荒木が1つ年下だが、気さくに接してくれた。今オフ引退を知り「お疲れさまでした。寂しいですけど、体を大事にしてください」とメールを送った。励ましたつもりが、反対に激励のメッセージを返された。尊敬の念はますます強まった。ともにけがも辞さずの全力プレーが身上。共感する部分は多い。

 荒木は昨オフ年俸変動制の5年契約を結んでおり、来季が2年目。この日の契約更改交渉では2500万円アップの1億7500万円でサインし、あらためて自己ベストとなる50盗塁を来季の目標に掲げた。「とにかく50盗塁したい。そのためには塁に出ること」。盗塁王5回の赤星の境地に近づくため、あえて高い目標を掲げている。

 最大の敵を味方にするしたたかさで、狙うは3年ぶりの盗塁王返り咲き。荒木がサラリーマンもびっくり?

 の接待攻勢でスケールアップする。【村野

 森】