世界一奪還を目指す侍ジャパンの、大会前最後の強化試合が終了した。

2月17日にスタートした宮崎強化合宿から19日間、9日の中国戦(東京ドーム)で初戦を迎えるWBC本番に向け、実戦6試合を総仕上げとして準備を進めてきた。密着マークを続けてきた侍ジャパン担当は、グラウンド内外で選手やスタッフの姿や言葉に何を感じたのか。連載企画「どうする○○」特別編として、各記者がそれぞれの視点で「侍ジャパンの19日間」を振り返る。

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どうする栗山監督。栗山監督はよく動く。打撃ケージ裏からファウルゾーンから外野まで。強化合宿ではサブグラウンドにも、室内練習場にもよく足を運んだ。あらゆる角度から選手たちに視線を送った。さらにスッと近づき、言葉をかけ、ボディータッチして笑顔で離れる。楽天担当として接した星野仙一監督がベンチで記者と会話しながら、視線だけでグラウンド内を網羅していたのとは対照的。どっちがいい、悪いではない。ただ、短期集中のチーム。寸暇を惜しみ意思疎通を図りたい思いが伝わる。

9日の開幕オーダーは「動く」だろうか? 前日まで4番の村上を6番に回した。結果、大量点につなげたが「どういう形のつながりがいいのか。これから一晩考えて、しっかり決めます」。単純な個々の打順よりも、打者の“並び”を重視する。1~3番の並びは機能している。4~6番は、どうする。4番村上に戻すのか、外したままか。

栗山監督が大事にする言葉に「小善は大悪に似たり。大善は非情に似たり」がある。故・稲盛和夫氏が好んだ言葉を「かわいそうと思って代えないことが、彼の人生にマイナスになる」と解釈している。ならば本調子でない選手を動かす(外す)のはいとわない気がするが、仮に動かさなくても、情ではなく、明確な意図を込めるはず。「一番大事なのは日本代表が勝つために最善を尽くすこと」と話す指揮官。どうする。【古川真弥】