ホスト国が連覇を逃した。

米国は最強打線を看板に「ドリームチーム」を編成したものの、侍投手陣の前にソロ2発のみ。最後は大谷の前に、マイク・トラウト外野手(31)のバットは空を切った。「彼はえげつないものを持っている。最後にいい球を投げてきた。本当に闘争心がすごい」と脱帽するとともに、「すべての野球ファンが見るのを望んでいた対戦。この1カ月半で何度も質問をされてきた。他の終わり方があったと思うかい?」と、どこかすがすがしくもあった。

チーム力だけでなく、本気度も十分だった。昨年7月、トラウトが主将に就任して以来、ベッツ、ゴールドシュミットらMVP選手も次々に参戦を表明した。侍ジャパンのような合宿はなくても、各自が連絡を取り合い、大会に照準を合わせてきた。デローサ監督は「みんなガッカリしているだろうが、チームが一体となって楽しんだことは誇らしい」と胸を張った。大谷については、「スポーツ界のユニコーン。他の人がトライしても、彼のレベルになれるとは思えない」と、あらためて別次元の存在として絶賛した。

敗戦の瞬間、トラウトは大谷らが歓喜する姿を目に焼き付けるようにグラウンドを見つめた。ただ、悔いはなく、「これまでに経験したことのない、最も楽しい10日間だった」試合前には全米中継局のブースに登場し、「USAコールを受け、胸にUSAを付けてプレーできるのは特別。次も出るってすでに伝えたよ」と、次回26年大会も参戦意思を明かした。この悔しさは、公式戦と3年後に晴らすしかない。【四竈衛】

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