ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する日本ハム増井浩俊投手(32)の実弟で、静清野球部部長の増井達哉氏(30)が21日、日本代表で活躍中の兄について語った。また同じくWBC代表で、焼津市出身の西武牧田和久投手(32)とは社会人の日本通運でともにプレーした経験を持つ。今日22日、アメリカとの準決勝に臨む静岡出身の侍ジャパン2人にエールを送った。

 増井3兄弟で次男の達哉氏と三男の裕哉氏(28)はアマチュア野球で活躍し、長男浩俊は侍ジャパンの一員だ。WBCでは12日オランダ戦で1点リードの8回1死満塁で登板して無失点に抑えるなど、重要な場面で起用されている。

 「メジャーのスカウトが注目するほどの一流選手になるとは思わなかった。自分もプロを目指していたのでうらやましい部分もあるが、正直にすごいと思う」

 3兄弟の中で兄浩俊は寡黙なタイプだ。また兄弟の中でただ1人、高校で甲子園に行けなかった。しかし、東芝で才能を開花させ、プロ入りを果たした。

 「兄は小中では常にチームの中心にいた。ただ昔からの知人には『達哉がプロに行くと思ってた』と言われます。兄は全力投球が持ち味ですが、大学まで球速も143キロくらい。東芝で本格的にウエートトレーニングをして、球速が伸びたと言ってました」

 牧田と増井3兄弟は同じ焼津市で育った。その当時はまだ特別な存在ではなかった。

 「牧田さんは一緒にプレーするまで知らなかった。当時は川端崇義さん(32=現オリックス)が有名人で、川端さんに追いつこうと兄が頑張ってました」

 牧田は静清工(現静清)で、当時部長の藪崎雄大氏の助言によりアンダースローに転向。07年に日本通運に入社し、入社3年目の達哉氏と出会った。

 「ストレートはすごかった。牧田さんは『手首を立てる』って表現するんですけど、横回転じゃなくて、上からストレートを投げるのと同じ縦回転の球を下から投げる。打者からすると浮いてくるように見える。ただ変化球は曲がりませんでした」

 今日22日、静清は春季中部地区大会で静岡北と対戦する。達哉氏は今月限りで静清を退職するため、最後の試合になる。4月からトレーナー兼野球コンサルタントとして独立し、4月中旬には静岡市内でサロンをオープンする予定だ。

 「兄たちの試合は見られそうにないですが、静清の選手の刺激になっています。出番があるはずなので、頑張って優勝して帰って来て欲しいです」

 静岡から2人の活躍を願っていた。【大野祥一】

 ◆増井達哉(ますい・たつや)1986年(昭61)11月17日、焼津市生まれ。小学1年から和田野球SSで競技を始める。和田中-静岡-日本通運。高2の03年夏に甲子園出場。09年に現役引退。同年秋から静岡の投手コーチを務め、14年から静岡大成で副部長、15年から静清で部長を務める。180センチ、75キロ。血液型A。右投げ右打ち。