常設化し、万難を排してWBCに挑んだ侍ジャパンが2大会連続で世界一を逃した。現状と背景、今後の課題を「侍 検証」と題して緊急連載する。第1回(全3回)は「小久保監督就任の疑問点」。

 20年東京五輪に向けた次期監督は、日本野球協議会を中心に、透明性を持って選定される。ガラス張りの選考の背景には、小久保監督への就任要請過程の不透明さがある。

 前回大会で3連覇を逃した後、日本代表が常設化された。トップチーム初代監督に当時42歳の小久保監督が就任したのは13年の10月だが、当時NPB顧問だった熊崎コミッショナーは、現在に至るまで選考の詳細を把握していないという。

 常設となれば、プロ野球の現役監督が兼任することは事実上難しい。若い人材に着目する中で決まった。監督経験はもちろん、指導者経験もなかった小久保監督は、事の重大さから要請を2度、断っている。3度目に腹をくくり、第4回WBCまでの3年半という長期契約が結ばれた。

 第1回は王監督。手探りの中で初めてのWBCを率いるに最適な人物は他にいなかった。09年は体制検討会議を開き、原監督に決まった。会議のメンバーは王氏のほかに野村克也、星野仙一、高田繁、野村謙二郎の各氏。話し合いを重ねて決めた。第3回は現役監督を最優先とし、当時ソフトバンク監督の秋山幸二氏が筆頭候補に挙がった。しかし、一貫して要請を固辞するなど事態が複雑化。当時の加藤コミッショナーが山本浩二氏にお願いし、受諾された。

 小久保監督決定に至る詳細が不明瞭であれば、任命責任を問うこともできない。成績不振による途中解任を議論する場もない。当然、この点に関し、小久保監督に非はない。侍ジャパンの強化には、指揮官だけが責を負う現組織の改革が不可欠になる。【WBC取材班】