プロボクシング元世界3階級制覇王者・中谷潤人(28=M・T)が15日、相模原・小山中学校で講演会を行った。4年前から親交のあるブラインドボクシング選手の工藤聖真さん(筑波大付属視覚特別支援学校3年)とともに福祉教育の一環として登壇。「SKY IS THE LIMIT(可能性は無限大)」とのテーマで、進路を決める大事な時期の3年生(220人)の前でトークセッションなどを実施した。

病気で両目の視力を失った工藤さんによる福祉事業の一環として行われた講演会にシークレットゲストとして招かれた中谷は拍手で迎えられた。

中学卒業後、単身で渡米してボクシング修行した当時の思いをはじめ、5月2日に東京ドームで4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(33=大橋)に挑戦し、プロ初黒星を喫した後の心境など「節目」「勝負」「進路」にまつわるエピソードを披露した。

過去に相模原・小山小学校で講演会をしたことがあるという中谷は「中学3年という大事な時期にお話しさせていただくのは初めて。本当にいろいろな考えがあって、たくさん悩んだり決めたりしていかなくてはいけない時期だと思うので、僕がどういう歩み方をしてきたかを参考にしてプラスに変えてもらえたらと思ってお話しさせていただきました」と話した。

人生の選択について「楽観的にものごとを決めるのではなく、自分が情熱を持って歩めることをチョイスしてもらいたいと思って話をさせてもらいました。楽しいことやワクワクすることが原動力ではあるが、そこを強調し過ぎるのも…。オリジナルの考えがでてこないかなということがあったのでそこのバランスを考えました」と振り返った。

講演会ではプロ初黒星となった井上戦がもっとも印象に残った試合になったと話した中谷は「本当にプロキャリアで5月2日に初めて負けを経験し、負けほど得られるものはないなと感じた。そういった場面を大切にしたい。勝つことで学べることはあるのですが、負けてどう感じてどう行動していくか。すごく大事だと思う。そのポイントを忘れずにいてほしい」とエールを送った。

一方、本来は小山中に進学する予定だったが、視力を失ったことで工藤さんは支援学校に進学。講演者ではあるものの、立場は同じ中学3年生に向けてブラインドボクサーとしての体験談などを語った。もっとも記憶に残った中谷の話として「5月2日の試合の様子を話していただいた時、負けはとても貴重なことというのが心に残っている。僕も試合に負けた時は引きずってしまう性格だった。そういう考え方があるのだと中谷選手に教えていただき、心に残りました」と挙げていた。