新型コロナウイルスの影響は収まりが見えないが、ただただ傍観しているわけにはいかない。室内競技で影響を受けやすいボクシング界も、9月に向けて興行の発表が増えてきた。

注目のひとつが9月16日にエディオンアリーナ大阪第2競技場で行われるグリーンツダジムと井岡弘樹ジムの合同興行。試合の楽しみはもちろんだが、元2階級制覇王者の井岡弘樹会長が先頭に立って盛り上げる。今月20日に大阪市内の井岡弘樹ジムで行った会見。会長は「ラッパースタイル」で登場した。

ボクシング界も、今までと同じ興行形態では厳しい時代となった。何とか盛り上げたい、注目してほしい思いが、その姿からは伝わった。井岡弘樹会長は会見で「自分の試合に集中してほしい。一緒にチャンピオンを目指してやっていきたい」と決意表明。興行の中で「ラッパー」として登場する予定という。

井岡弘樹会長はオンラインでボクシング+エクササイズで「ボクシエット」を展開するなど、コロナ禍の時代にいち早く対応してきた。以前のようにテレビの地上波で、世界戦であっても中継されることは一部選手に限られ、少なくなってきた。「従来」から脱却する取り組み、新しいアイデアと挑戦には、積極的だった。

もちろん、井岡弘樹会長が主役になるわけではなく、厳しい練習を乗り越え、魂をこめて戦う選手たちの“色添え”としてラップを披露する。現役時代は18歳9カ月の最年少でWBC世界ミニマム級王座を獲得。その後も一線で活躍し、自分を露出するべくメディア対応も熱心だった。

その経歴があって、今がある。ボクシング界を、特に最近停滞気味の西日本を盛り上げたい思いは、関わる者だれもが同じ。井岡弘樹会長の新たな“仕掛け”に注目したい。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)