相撲界の未来を思い、西前頭5枚目の明生(29=立浪)は3年間、関取では珍しい挑戦をしていた。

主に本場所のない偶数月に週5日、月~金曜日に千葉・柏市の星槎(せいさ)国際高に通い先月、晴れて卒業した。授業は午前10時から午前中に2時間、昼休み1時間を挟み、午後に2~3時間。主要5教科を学んだ。

明生 今は中卒で入門する子も少ない。でも、自分みたいに中卒で入っても、こうして高卒資格を取ることができると知ってもらえたら、親御さんの心配も減ると思います。少しでも相撲界に入る子が増えたら。

年々減る入門希望者に歯止めをかけたいと思う一方で、8年以上、関取の座を守り続け、本業は稽古や弟弟子の指導だ。そんな中で片道30分かけ、電車通学した。巡業と重なれば休まざるを得ないことは学校が、稽古を休むことは部屋が、双方の理解があった。「忙しいですけど先生も皆さんいい方で、いい出会い、経験でした。勉強のことは聞かないでください(笑い)」。大きな体に合うよう、机といすは最も大きなサイズのものを、それぞれ2つ並べて授業を受けた。

同じ立浪部屋から4人、高砂部屋から2人の若い衆も一緒に授業を受けた。昼食に、副校長がさまざまな弁当を買ってきた際は、どれを選ぶかは「じゃんけんで決めました。同級生なんで(笑い)」。今場所12日目の24日が30歳の誕生日だが、青春を満喫。後援者のはからいで、京都へ1泊2日の“修学旅行”もした。

明生 前にも1度、高校に行こうとしたことがあったんですけど、その時は部屋が茨城県。通いたいという人も、部屋には他にいませんでした。今回は、みんなも一緒だったので、何とか卒業できました。みんなで学校に通うというのも、なかなか味わえないです。

若い衆の熱意に後押しされたと感謝した。一方の若い衆は、明生に敬意を表した。付け人の三段目春雷は「関取衆は忙しいのに、なかなかできないこと。他の部屋でも高校に通う力士が増えると思います」と語った。高砂部屋の“同級生”序二段朝翔と朝童子も「明生関に、よくジュースをおごっていただいた」と、親しみを込めて感謝を口にした。人材育成の、新たな形を示した。【高田文太】

6月、星槎国際高柏キャンパスで卒業式に臨んだ明生ら(提供写真)
6月、星槎国際高柏キャンパスで卒業式に臨んだ明生ら(提供写真)