前頭豊ノ島関(36=時津風)の絵は「奇跡の1枚」という自画像です。今回の企画を打診した当初は「絵は本当に苦手で…。もしもうまく描けたら」と、まるで乗り気ではなく一時預かりの形。ところが自身も驚きの仕上がりに、少年のように喜んでいました。「色を付けると取り返しがつかなくなりそうだから」と、あえてモノクロのまま。顔写真も「この絵に近づけないと」と、左の口元を少しつり上げながら、笑みを浮かべるこだわりようです。

込めた思いも強い作品です。16年7月に左アキレス腱(けん)断裂の大けがを負い、今年3月の春場所で16場所ぶりに幕内復帰。夏巡業は15年以来、4年ぶりだけに「以前は当たり前のように参加していた夏巡業に出て、感慨深かった。(基本的に幕内しか参加しない)北海道巡業に行くと『幕内に戻ってきたな』と思いますね」。しみじみと語っていました。