ライト級の下町俊貴(21=グリーンツダ)が4回51秒TKO勝利を飾り、最優秀賞に輝いた。

 ここまで6勝(3KO)1敗1分けで勝ち上がり、4戦全勝4KOの東軍MVPの飯見嵐(21)と激突。インファイターの突進を179センチの長身で左右にかわし、的確にパンチを集めた。最後は4回、「自分も必死で分からなかった」と顔面に連打を集めてレフェリーストップを呼び込んだ。

 勝利後のリング上のインタビューで「めちゃくちゃ怖かった」と吐露するなど、強気とは無縁なのは、中高と帰宅部だったこともありそうだ。ボクシングは小5で習い始めたが「遊びたかった」と1年で挫折。その後は運動部には入らずに「中高も(友達と)遊んでいました」と放課後は喫茶店などで過ごしていたという。転機は高校卒業を控えた高3の時。父親がテレビで格闘技を見ているのを眺め「強い人はかっこいいな」と感じ、「働きたくなかった」と卒業後にボクシングの再挑戦の道に進んだ。最初は1時間の練習でバテているところから、地道に研さんを積んできたが、自他共に「ジムでも影が薄い」という存在。スーパーバンタム級では異色の179センチの長身でも、目立つことはないようだ。

 それでも、強い。この日の試合でも「途中に(パンチをもらって)痛かったですけど、下がったらどんどんくる」と冷静に見極めて、左右に避けてのパンチなどはMVPに相応しい動きだった。今度の目標は「体力をつけること」で、練習で「何回か骨にヒビが入った」というほどの軟弱克服を掲げる。肉体的にも「少し筋肉がついてきた」と話すほど、伸びしろは十分。「いけるところまでいきたい」と謙虚に未来をみつめた。