K-1フェザー級王者武尊(26)が同王座を返上、3月21日に大雅(21)の持つ同スーパー・フェザー級王座に挑む。新生K-1初となる、さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ大会「ケーズフェスタ・ワン」(日刊スポーツ新聞社後援)で行うもので、武尊は前人未到の3階級制覇を目指す。同大会では合計7つのタイトル戦が行われ、最大級の格闘技イベントとして日々、注目度が高まっている。

 新生K-1のカリスマ武尊は、昨年末の対戦発表から早くも戦闘モードに入った。きっかけは同会見での大雅の「武尊選手を尊敬はしているが、嫌い」発言。武尊は「クリーンな気持ちでやろうと思ったが、”嫌い”と言われたので、スイッチが入った。チャレンジャーらしくガンガン行く」と闘志に火をつけた。

 今回のタイトル戦のオファーは秋口にもらった。そして「体格差があるので、動ける体で体重を増やす」との考えで体作りに取り組んでいる。そのため年末に渡米し、2週半のトレーニングで新たな技術を磨きながら68キロまで増量した。これを2月には「筋肉をつけて70キロまで上げ」、そこから試合までにリミットの60キロにする計画だ。

 「僕は常にチャレンジしたいと言ってきた」という武尊。このところの試合ではプレッシャーとの戦いが続き「楽しんで試合することができていなかった」。それが今回、挑戦者の立場に変わったことで「練習も普段の生活もすごく充実している」。格闘技に対するプラス思考が増殖中で「精神的にすごく良い状態」と心身ともに万全といえる。「KOしか考えていない」と自信満々だ。

 迎え撃つ大雅は、2014年11月3日の新生K-1の旗揚げ戦(3回KO)、15年4月19日の初代スーパー・バンタム級王座決定トーナメント決勝(3-0判定)で武尊に連敗中。「負けた試合はずっと忘れたことがない。武尊選手に勝たないと、ずっと下にいることになる。過去2回やられているので倍返しする」とこちらも熱く燃えている。

 2人は一昨年から階級が分かれ、3戦目の実現が危ぶまれていたが、大雅は「階級を下げてでもやろうと思っていた」と心の奥で闘志を燃やし続けていた。それが今回、武尊の挑戦という形で実現。大雅は「ありがたいし、うれしい」と歓迎した。そして、この正月にはタイ合宿を敢行。「試合のためだけの日々を過ごした」。「武尊選手は、自分の中でぶち壊さないといけない壁。挑戦するつもりでいく。もしも僕が負けたら4回目はないと思う」と、背水の陣で臨む覚悟だ。

 旗揚げ戦での激闘が、その後の新生K-1の発展に結びついたとも言われる。今回の勝者が、これからのK-1の先頭に立つことは言うまでもない。武尊か、大雅か、運命のゴングまで残り2カ月。2人の動向からは片時も目が離せない。