昨年12月に米ラスベガスで行われたボクシングのIBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチで新王者となった尾川堅一(30=帝拳)が、米ネバダ州コミッションから6カ月間の資格停止処分を受けることになった。19日に帝拳ジムが記者会見を開き、発表した。

 尾川は今年1月、試合前の薬物検査で2種類の合成テストステロンに陽性反応を示していたこと判明した。ラスベガス滞在中の12月5日に行われた検査で陽性反応を示していた。テビン・ファーマー(米国)に2-1の判定勝ちを収めた王座決定戦(12月9日)の試合後の検査では陰性だったが、処分が下された。 試合結果は無効となり、タイトル獲得の事実も消える。同州コミッションは試合日から出場停止期間を6カ月としたため、処分は6月9日に解除される。本来は1年の停止だが、調査に全面協力したことなどが考慮されたという。また、ファイトマネーの20%となる罰金1万4000ドル(約150万円)も科せられ、同州で再び試合を行うには追加の薬物検査が求められた。

 会見で尾川は「このたびは自分のプロとしての自覚のなさでご迷惑をおかけしました。重く受け止め、今後このようなことがないようにします。すみませんでした」と深く頭を下げた。陽性発覚後の聞き取り調査などでも故意に摂取したものではないと主張してきたが、最終的には禁止薬物の摂取経路を明確に示すことができなかった。当初はアトピー性皮膚炎を抑える塗り薬が該当薬ではないかと考えてきたが、証明することができなかったという。

 IBFからの通知はこれからで、JBC(日本ボクシングコミッション)も今後処分が下る見込み。尾川は現役続行を望み、「リングに戻りたい。しっかり反省して、2度と起こさないようにしなければ」と険しい表情で決意を述べた。

 IBFは既に暫定王座決定戦として、尾川に敗れたファーマーと同級4位ビリー・ディブ(32=オーストラリア)に対戦交渉を指令していたが、今回の処分を受けて正規王座決定戦になる見込みだ。