「ニューヨークの帝王」が17年ぶりに日本に降臨した。

 プロレスラー藤波辰爾(64)主宰する「ドラディション」後楽園ホール大会が20日に行われ、元WWF(現WWE)世界ヘビー級王者ボブ・バックランド(68)が6人タッグ戦に登場し、往年の雄姿をほうふつとさせる軽快な動きで大歓声を受けた。

 藤波、長州力と組みリングに上がると、ゴング開始前から68歳とは思えない足運び。試合開始直後に新崎人生と真っ向から組み合うと、関節技から脱出し、一気に相手3人をぶちのめす場面も見せた。

 「非常に満足する声援をもらった」

 01年以来の日本のリングで「ボブ!ボブ!」の大声援を受けて加速すると、最後もしっかりと見せ場を作る。味方のTAJIRIの毒霧を誤爆したSAKAMOTOが混乱するすきを見逃さずに背後に回ると、高々と持ち上げる得意技アトミックドロップ。一気にリングにたたきつけて大ダメージを与えると、素早くチキンウイングフェースロックに持ち込んで、10分37秒にギブアップを奪った。

 「非常にショックを受けて試合ができるかどうか分からなかった。藤波に励まされたね。自分の動きにブレーキがかかる場面もあったかもしれないが、この勝利をささげたい」

 試合後に哀悼の意を示したのは、18日に亡くなった「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノ氏。77年に知り合ってから40年来の友人で、「彼のおかげでいまの私がある。もう1回ビールを一緒に飲みたいね」と感謝の言葉が続いた。