新日本プロレスの真夏の祭典、G1クライマックスは今日14日に開幕戦を迎える。13日、都内で出場20人が一堂に会して記者会見が開かれた。史上3人目、14年ぶりの連覇に挑むのは内藤哲也(36)。「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」リーダーの圧倒的人気は不動で、プロレス界入りを決めた原点の会場、日本武道館で戦えることへの思いも強い。「制御不能なカリスマ」の直前の声を届ける。

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 「僕にはリーグ戦の1試合にすぎないですよ」。内藤はさらりと言った。「オメガの方が意識してるんじゃないですか」。15日の初戦でいきなり激突する、昨年の決勝で争った現IWGPヘビー級王者ケニー・オメガ。6月に前王者オカダの13度目の防衛を阻み、新王者となったばかり。内藤はその心理を、「オカダを倒したのは偶然じゃないと証明したいんでしょ、僕に勝って」と透かした。

 この1カ月間、オメガに無関心だったわけではない。「日本人は楽している」という発言に反応。直後のシリーズを欠場した姿勢に、「新日本の顔になりたいんだろ。テレビのない試合も大事にした方がいい」と批判していた。「彼は10年も日本にいて、日本のプロレスのすごさは知っている。だから真意はどうなんだろう。彼のわなであってほしいね」と指摘の意図を明かし、「垂らされた釣り糸にあえて食いついた。でも、あの発言に反応しない選手は逆にどうなのか」と他選手の無反応も嘆いた。

 つまり、余裕のかみつき。だから初戦のオメガ戦に特別な感情は持ち得ない。特別な動機は、優勝決定戦が日本武道館という運命。97年6月5日、初めてチケットを買って新日本の試合を見た会場で「花道を歩く1人の人間にスポットが当たる。俺も立ってみたいと思った」。同会場のシングル戦は初で、21年の悲願がある。

 18年上半期は王座戴冠、陥落と浮き沈み激しかった。下半期は何を見せてくれるのか。「チャンスがあるのは僕だけでしょ。2連覇したらなにが見えてくるのか、楽しみですよ」。ふてぶてしく、待ち望んだ。

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 会見で内藤は5、6月に開催されたジュニアヘビー級最強決定戦「ベスト・オブ・スーパージュニア」に言及。「今年はここ数年で一番の盛り上がりをみせていたんじゃないかな。立役者は高橋ヒロムでしょう。彼の活躍に良い刺激をもらいましたよ」と「ロス・インゴ」の後輩の名前を挙げた。2連覇へ、「過去最高のG1をお届けしますよ、楽しみに待っていてください」と予告した。【阿部健吾】