世界最速タイのプロ12戦目で世界3階級制覇を達成したWBO世界フライ級王者田中恒成(23=畑中)が10日、名古屋市内で会見。元IBF&WBA世界ライトフライ級統一王者でWBOフライ級4位の田口良一(32=ワタナベ)と3月16日、岐阜メモリアルセンターで愛ドームで初防衛戦を行うと発表した。17年大みそかに対戦が内定しながら、自分の負傷で流れた“宿敵”とついに拳を交える。

初防衛戦のキャッチフレーズは「the Fate」-。運命だ。田口と並んで会見に臨んだ田中は「めちゃくちゃ楽しみです。田口選手は間違いなく強い。今、1番戦いたい相手です」と興奮気味だった。

始まりはプロデビュー直前の13年8月、田口の日本王座戦を観戦した時。井上尚弥に判定負けし、王座を陥落したが“モンスター”と最後まで打ち合う姿にシビれた。ラブコールの末、17年大みそかにライトフライ級の世界王座統一戦の形で対戦が内定した。ところが、同年9月の防衛戦で両目眼窩(がんか)底骨折を負い、流れた。単身上京し、田口に会って、自分の“不始末”を直接わびた。

「1度終わった話。でも、正直に言えば、心の底で“いつかできるんじゃないか”と思っていました。ただ、早かったですね」。昨年5月に田口がIBF、WBAライトフライ級王座を陥落すると、畑中会長が水面下で田口陣営にオファーを出した。田中は10月末、パナマのWBO総会に出席し、バルカルセル会長に田口戦を直訴した。再度のラブコールが結実した。

試合はTBS系で全国生中継される。17年9月のパランポン戦以来2度目だ。世界最速タイの世界3階級制覇を決め、WBO年間最高試合に選ばれた昨年9月の木村戦も中部ローカルの中継だった。「すごく悔しかった。今年はブレークしたい」。才能、実績が過小評価されてきた。将来的に世界5階級制覇を狙う“ドリームボーイ”は、運命の戦いで全国区に打って出る。

◆田中恒成(たなか・こうせい)1995年(平7)6月15日、岐阜県多治見市生まれ。父斉さんに幼少から空手を習い、本格的なボクシングは市之倉小6年から。中京高で高校4冠。13年プロ転向。15年にWBOミニマム級で日本最速5戦目の世界王座奪取。16年に8戦目で同ライトフライ級王座を獲得し井上尚弥と並ぶ日本最速の世界2階級制覇。昨年9月にWBAライト級王者ロマチェンコと並ぶ世界最速12戦目の世界3階級制覇達成。今春に中京大経済学部卒業予定。164センチの右ボクサーファイター。