WBOアジア太平洋バンタム級王者ストロング小林佑樹(27=六島)と同ジムの武市晃輔トレーナーが30日、大阪市の同ジムで枝川孝会長から報奨金の100万円を受け取った。2人は事前に知らされておらず、帯封の現金という実に生々しい“贈り物”を手渡された。小林は「本当にうれしい。苦しい練習をしてきたかいがありました」。武市トレーナーも「シンプルにこんなにうれしいんはちょっとないです」と狂喜乱舞せんばかりだった。

小林は26日の同タイトルマッチで王者ベン・マナンクィルを10回TKOで破り、ベルトを奪取した。過去の東洋太平洋タイトルなども含めて挑戦4度目の戴冠。下馬評は圧倒的不利だったことを受け、武市トレーナーが試合約1カ月前に「おまえ、今日からサウスポーになれ」と突然、右構えからの転向を指示。小林は最初「は?」と驚いたというが、武市トレーナーを信じて、サウスポースタイルを体に染みこませた。

武市トレーナーは「1カ月ちょっとの大手術」の意図を説明した。「相手が小林の苦手なサウスポー。いつも“左ストレートもらって、右フックを返される”パターンやったんです。(転向は)それをなくすため。それしか勝機がないと思ったけど、軽くあしらわれて前半でやられる可能性も十分ありましたけどね」。イチかバチかの賭けが、見事に的中したわけだ。

枝川会長は「小林は下馬評をひっくり返してくれた。武市は“勝負しないタイプ”のトレーナーやけど、これで一皮むけてくれるんちゃうかな。そこを評価するのは、やっぱりお金でしょう」と報奨金を出した理由を説明。“現ナマ”を手にウキウキする2人をうれしそうにながめていた。