ボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が「ドネアの影武者」との最終調整に入った。11月7日、さいたまスーパーアリーナで5階級制覇王者のWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝を控え、4日に横浜市の所属ジムで練習。ドネアと動きが似たWBO世界スーパーバンタム級2位アルバラート・パガラ(25=フィリピン)とスパーリングを開始したと明かした。

  ◇  ◇  ◇

自然と井上の声がはずんだ。新たな練習パートナーのパガラとの実戦トレに確かな感触と刺激があった。3日に4回のスパーリングに臨み、初めて拳を交えた井上は「圧(力)のかけ方、カウンターの取り方がフィリピン人独特のものがある。良い練習ができそう」と充実の笑みを浮かべた。

所属ジムの大橋秀行会長(54)が数選手の動画チェックを重ね、ドネアのファイトスタイルに似ていることからパガラを練習パートナーにリストアップした。現在は世界ランク2位で、すぐにでも世界挑戦可能な実力者だ。同会長は「本当にドネアに似ている。ドネアの影武者だよ」と確かな手応えを口にした。

パガラは昨年、ドネアのスパーリング相手を計6回務めたという。両者とスパーリング経験を持つパガラは「井上の方がドネアよりもパワーとスピードもある。左ボディーをはじめ、すべてのパンチがいい」と太鼓判を押した。世界挑戦経験のあるフィリピン人の元WBOアジア太平洋フェザー級王者ジェネシス・セルバニア(カシミ)もパートナーに加え、井上は23日まで週3回ペースでスパーリングする予定。WBSS決勝へ、綿密なドネア対策を続ける。【藤中栄二】