プロレスリング・ノアが新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて後楽園ホールで無観客試合を行い、メインのGHCヘビー級選手権では王者潮崎豪(38)が藤田和之(49)を下し、初防衛に成功した。

異例のタイトル戦となった。観客がいない静寂の会場。2人はゴングが鳴ると、距離を置いたままにらみ合う。そのまま、30分も緊迫状態が続いた。均衡を破ったのは藤田。王者潮崎をタックルで倒し、グラウンド戦に持ち込む。なかなか落とせずしびれを切らし、今度は場外へ。消毒液を口に含み潮崎に吹きかけ、だれもいない客席から入り口ロビー、さらにその先のエレベーター、バルコニーへと連れ回した。

リングに戻っても、藤田の攻撃は続くが、残り10分で王者潮崎も反撃に転じる。得意の逆水平連打、豪腕ラリアットで流れを引き寄せ、最後は再び豪腕ラリアットを3発打ち込み3カウントを奪取。試合時間残り3分を切った57分47秒で死闘を制した。

本来なら3月8日の横浜文化体育館でタイトル戦を行うはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でこの日の後楽園ホール大会へ延期。さらに都の自粛要望を受け、無観客となった。試合の模様は同じサイバーエージェントを親会社に持つDDTの動画サイト、専門チャンネルサムライTVで生中継された。勝利した潮崎は、「画面の向こう側にいるホーミーズ(仲間)たち、ひとつだけ言わせてくれ、アイアムノア!」と話して、異例の試合を締めくくった。