プロレスラーで大阪・和泉市議を務めるスペル・デルフィン(52)が15日、日刊スポーツの緊急インタビューに答えた。新型コロナウイルスの影響で試合の中止や延期が続くプロレス界や、議員活動の現状について語った。

デルフィンは現在、沖縄プロレス社長の肩書を持つ現役プロレスラー。生まれ育った和泉市での議員活動に影響がない場合、オファーを受ければ地方団体でも試合に出場する。だが、新型コロナウイルス問題で2月末からプロレスをしていない。4月7日には政府から緊急事態宣言も出され、より身動きが取れない状況だという。

「4月12日に愛媛プロレスでビッグマッチの予定があったんです。無観客でのライブ配信です。でも、僕はやめておこうと言わせてもらい、最終的に延期になりました。そりゃ、そうです。プロレスって濃厚接触の最たるもの。危ないですよ。(その興行は)クラウドファンディング(=ネット経由で不特定多数が組織に財源の提供などを行うこと)だったので、落ち着いたら必ずやります。それまで待ってもらいましょうと」

国内には1000人以上のレスラーが存在するとされている。メジャー団体と所属契約する選手は一握りで、大部分が無収入状態が続いているのでは。

「でも、プロ野球も試合はやっていないでしょ。他競技と比べれば、それほど接触がないと思われるゴルフも、世界的に中止や延期が続いている。プロレス界も分からないとダメなんです。レスラーは強靱(きょうじん)な体とか言う人もおるけど、あかん。やったら、あかんと思いますよ」

自身のツイッターでは、固定給のないフリーのレスラーに対して「まだ正式に決まっていないが、昨年度確定申告している選手で、2月から中止となった試合の証明があれば、給付の望みはある!」などとつぶやいていました。

「各自治体やそれぞれの条件によって違うでしょうが、もらえるものはもらった方がいい。役所へ1度、問い合わせをするべき。このままだと、間違いなく食っていけないんですから」

和泉市(人口約19万人)の15日時点での新型コロナウイルス感染者数は、計33人(うち退院2人)と発表されている。現在どう動き、どう注意して生活をしているのか。

「4月に予定された委員会が5月に延期になったり、視察など延ばせるものは延ばしています。なるべく市役所には行かず『ステイホーム』『テレワーク』を心がけてはいるんですが、難しい部分もある。僕は議会に出る場合は覆面をかぶっているが、(感染防止のために)その上からマスクをつけていますからね。市の職員は接触を減らすためにも、交代制で勤務するなど工夫しています。和泉市は、人口10万人あたりの感染者数は約18人(14日時点)で、大阪府の市町村の中でも多くなっているので、危機感は強いですよ」

今後に向けての議員、レスラーとしての決意を聞かせてください。

「和泉市がやるべきこととしては、僕は公共料金、例えば水道料金を無料にできないか、などを提案しようと思っています。レスラーとしては練習でジムに行けないし、ランニングもやっていいものか難しい。(緊急事態宣言の期限となる)5月6日までにどうなっているか分からないし、試合ができるのは6月、いや、7月以降になるでしょうね。それまでは『ステイホーム』の精神、辛抱の時です。お互いに頑張りましょう」

【聞き手・横田和幸】

◆スペル・デルフィン(本名・脇田洋人=わきた・ひろと)1967年(昭42)9月22日、大阪・和泉市生まれ。21歳の時、オランダでプロレスデビュー。FMW、ユニバーサル、みちのく、大阪を経て沖縄プロレスに。12年に大阪・和泉市議に初当選して現在2期(8年)目。172センチ、80キロ。家族は夫人のタレント早坂好恵と1女。