元RIZIN、ベラトール・バンタム級王者堀口恭司(30)が大みそかのRIZIN26大会(さいたまスーパーアリーナ)で1年4カ月ぶりに復帰する。昨年11月に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの手術を受け、同8月に朝倉海(27)に1回KO負けして以来のリングで、現RIZIN同級王者朝倉に挑む。21日までにオンラインで日刊スポーツの取材に応じ、コロナ禍でも堀口流プラス思考を貫き、王座返り咲きとリベンジ達成で復活を証明する意気込みを示した。【取材・構成=藤中栄二】

   ◇   ◇   ◇

新型コロナウイルスの影響で、世の中は笑顔が多い日ばかりではない。その沈んだ雰囲気を吹き飛ばすように堀口は前向きだ。12月上旬の帰国時、PCR検査で3時間ほど待たされても、表情は明るい。

「早く日本に帰ってこられたのも時差調整のメリット。何でも悪いように考えたら悪くにしかならない。良い風にとらえる。全然、うまくいきそうですよ」

セコンドのマイク・ブラウン・コーチの来日手続き、国内調整も通常通りとはいかない。昨年8月の朝倉戦以来のリングは再戦で復帰戦。周囲の不安とは裏腹に、本人は常にプラス思考だ。戦線離脱の1年間に米国で新車(アウディ)とベッドルーム4つバスルーム3つの一軒家も購入。「頑張るために買った」という。

「やれることは限られるけれど自分の練習はできる。不便、嫌だなと思ってもいいパフォーマンスは出ない。できることをやる」

昨年11月に右膝前十字靱帯と半月板の手術を受け、数カ月は車いす生活。7月からジムワークを再開した。アスリートとして選手生命に関わる大けがだった。

「今まで壊れた箇所も治療してこなかったので良い意味で治療期間と休暇だった。連戦でボロボロでも根性でやる感じになっていたし、今回はメンテナンスして試合に臨める。みんなマイナスにとらえるけれど、自分はプラスだと思う」

朝倉との初対決は、右カウンターパンチなどを浴び、68秒で敗れた。その後4試合戦った王者とは対照的に堀口は即再戦となる。

「前回はカウンター食らった後、何も覚えてない。再戦というより新たな選手と戦う感じ。楽しみが多いし、仕返しできるのがうれしい。勝つ姿しか思い描いていない」

長期離脱を理由にRIZINとベラトールの王座を返上した堀口は2020年を漢字1文字で「休」と表現した。

「大みそかに『休』が終わる。預けたRIZINのベルトを返してもらい、ベラトール王座も取り返したい。それでやっと『戻った』と。前回は自分が負けるのも悔しかったですが、応援してくれる人の涙を見ると悔しい。今回はしっかり笑顔にしてあげたい」

01年に始まった大みそか格闘技は20年目。区切りのメインに登場する堀口が最後に言った。

「KOか、1本で勝ちますよ」

○…堀口のもとに親交ある著名人の応援メッセージが次々と届いている。プロ野球の福岡ソフトバンク松田宣浩や元中日投手の山本昌氏、UFCフライ級王座戦で対戦した当時の王者デミトリアス・ジョンソン(米国)らによるリング復帰を後押しする声が堀口の公式YouTubeに投稿。堀口は「ありがたい。力になります」と感謝した。

◆堀口恭司(ほりぐち・きょうじ)1990年(平2)10月12日、群馬県高崎市生まれ。5歳から空手を始める。作新学院高空手部を経て上京。10年5月にプロデビュー。13年10月からUFCに参戦し7勝1敗。17年4月からRIZINに参戦。19年6月にRIZINとベラトールのバンタム級2冠王者に。米国を拠点とし、米フロリダ州のアメリカン・トップチームに所属。163センチ、61キロ。